教団が「
優しい口調で何時間も圧をかけてくる」という以上の「強制」によって若い信者をHSUに送り込んでいるという話は、いまのところ聞かない。HSU入学者たちは外見上、さも「自由意思で選択した」かのような体だ。
だからこそ、かえって「学校教育」として恐ろしい。統一教会のような正体や目的を偽る偽装勧誘ではない。オウム真理教のような暴力や薬物を用いた「洗脳」でもない。進学や就職を放棄してHSUに入るなどという不合理な進路を正しいと信じ込み自ら選択する未成年信者が、県の認可を受けた学校教育を通じて大量に作り出されている。
この学園では、
通常の歴史の授業中に教祖の「霊言」に基づいて歴史上の人物の過去世や歴史に対する宇宙人の関与などについて教えている。「宗教」の授業ではない。
「歴史」の授業だ。また
幸福実現党を支持する政治教育(教育基本法で禁じられている違法な教育)を行い、寮生活のルールを破った生徒を隔離して授業にも出させず教義ビデオを見せたり反省文を書かせたりする
「隔離措置」まで行う。この隔離措置は、生徒への懲戒処分について基準などを事前に生徒や保護者に明示することや懲戒内容が「社会通念上妥当性を欠くものとならないように」することを求めた
文科省通達に反している。
「隔離措置」は露骨な人権侵害だし、授業内容も、未成年者のマトモな教育を受ける権利を侵害している。宗教の名の下に、こうした教育を間違っていると感じない生徒を養成しているという意味では、「反人権」教育ですらある。
幸福の科学大学の問題を理解するには、
大学以外の場面でそもそも逸脱している学校法人が今度は大学を作ろうとしているのだという構図を認識する必要がある。この学校法人が運営する中学・高校が県の認可を受け運営され続けていることが、そもそもおかしい。
次回は、申請前の2013年から不認可となった後の2015年までに発刊された「幸福の科学大学シリーズ」や同施設で上映された大川総裁の法話、HSU生の外部学会発表などから、同施設の教育内容などについて迫る予定。
<取材・文/藤倉善郎>