売春関係のバーに行かずとも、普通のパブなどでも出会いがある
田附氏を訪ねてくる女性たちは、どういう経緯で彼を訪れるのだろうか。
「知り合いの紹介もありますが、まったく初めての方もいます。SNSで連絡をくれるのですが、一番多いのはインスタです。
#バンコク夜遊び、
#ゴーゴーボーイなどのハッシュタグで検索して私をみつけるようですね。このところは
ゴーゴーボーイへのアテンドを希望される方が多いです。3、4年前はショーだけを見て満足される方が多かったのですが、最近はゴーゴーボーイたちをペイバー(お持ち帰り)する方も増えていますね」
ゴーゴーボーイとは本来は男性の同性愛者向けナイトスポットだ。元々ゴーゴーバーというものがある。ベトナム戦争時に米軍兵士が休暇で訪タイしていたので、バンコクや東部のリゾート地パタヤに米ドルを目当てにした売春バーができた。そこで水着を着た女性がステージで踊り、男性客が気に入った女性を連れ帰る。これの同性愛者向けがゴーゴーボーイになる。
しかし、ゴーゴーボーイで働く男性は必ずしも同性愛者というわけではない。性的指向はいわゆるノーマルの男性が、仕事と割り切って同性愛者の男性とホテルに向かうということも少なくない。そのため、ゴーゴーボーイは女性客も歓迎しているし、ゲイではない男性ダンサーとしても女性客の方が喜ばしいのだ。
タイは食事がおいしいので、観光的にはさまざまな面で楽しめる
ひとつ付け加えておくと、タイの場合、貧富の格差が著しい。そのため、貧困層の家庭に生まれると負の連鎖から抜けることが困難になる。学歴も重要で、高卒レベルでも高収入の職に就くことがタイではほぼ不可能と言っていい。そのため、中には違法薬物の売買やこういった性風俗産業に従事するしか大金を稼げるチャンスがない場合もある。
また、タイは家族思いの人が大半であり、同時に親の世代を子が養うということが一般的なため、家族構成によってはたったひとりの子が数人以上の扶養者を背負うことになる。そうして性風俗産業でチャンスを掴もうと考える、あるいは働かざるを得なくなる。タイでは日本のように遊ぶ金ほしさに売春をする人はほとんどおらず、やむを得ず身体を売るしかない人ばかりだ。
筆者としてはタイの性風俗産業を全力で肯定するつもりはない。しかし、一方で日本人がこの世界に落としていくジャパンマネーがこうした産業で従事せざるを得ない人々を救う現実も見てきている。だから、日本人女性の夜遊びへの情熱がタイ人男性とその家族に貢献していることは間違いない。
では、そんな彼女たちは夜遊びにどれくらい日本円を落としていっているのだろうか。田附氏に改めて訊いてみた。