帰国できない事情を持つ外国人が、無期限に拘束されてしまう
入管による長期収容に抗議する市民。今年8月、新宿駅前にて
かつての戦中の治安維持法による政治犯拘束より、現在の法務省・出入国在留管理庁(入管)での外国人での拘束の方が、制度として酷い―-。11月8日、衆院法務委員会で行われた質疑で浮き彫りとなった。その背景には「
東京オリンピックのための治安維持」があり、入管行政のみならず、日本政府としての姿勢も問われそうだ。
迫害から逃れてきた難民や、日本で結婚しているなど、帰国できない事情を抱えた外国人を
法務省・入管がその収容施設に長期間にわたり拘束(=「収容」)していることは、これまでも、国連や内外の人権団体から批判されてきた。
「収容」は強制送還までの措置ではあるものの、
帰国できない事情を持つ外国人は、無期限に拘束されてしまうという問題がある。今年6月には、
入管による長期拘束に抗議してハンガーストライキを行っていたナイジェリア人男性が餓死。日本弁護士連合会は会長声明で入管を批判した。
「東京オリンピックのため」に平然と行われる人権弾圧
問題は、こうした在日外国人への長期収容が、
東京オリンピックのために行われているということだ。昨年4月、
警察庁・法務省・厚生労働省の三省庁による合意では「政府は、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて『世界一安全な国 日本』を作り上げることを目指している」として在日外国人の取り締まり強化に積極的に取り組むとしているのだ。
10月1日の、河井克行前法務大臣の会見でも、送還を忌避して収容されている人は858人であり、そのうち「入管法違反以外の罰則によって有罪判決を受けた者」「退去強制処分を複数回受けた者」など、全体の57%が
「我が国社会の安全・安心を脅かすおそれのある者」であると決めつけている。
だが、例えば帰国したら殺される危険性がある難民は、何度退去強制処分を受けようが帰国できないのが実情だ。
入管の収容施設に拘束されている被収容者の7割弱は、難民認定申請者である。これは
日本の難民認定審査自体に問題があるからだろう。審査が国際基準に沿わないものであり、0.2%という低い庇護率に国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は名指しで日本に苦言を呈しているのだ。