子連れの人たちの会話で分かったのですが、この日の昼のNHKニュースで、
来年移転のために現地では最後の松山運転所一般公開が行われているという報道があったため、天気が回復しかけていることもあって家族連れ客が増えているとのことでした。
やはり今年でこの運転所は見納めだったのです。寝坊しても無理して来て良かった!
ここ連続
立体交差化、移転事業が進む松山駅周辺をみてみます。
すでに運転所西側の南江戸町一帯は区画整理が進んでいて、更地が広がっています。更地になっている一帯は、西口駅前広場になり、幹線道路が新設された上で路面電車が西側へ松山空港まで延伸する計画*とのことです。
〈*
松山空港路面電車延伸検討会 4ルート案公表2015/12/22愛媛新聞〉
松山運転所西側外 南江戸町一帯南側 2019/10/19牧田撮影
松山駅周辺土地区画整理事業対象地区の立ち退きが進んでいる
松山運転所西側外 南江戸町一帯北側2019/10/19牧田撮影
この一帯は、移転、整地が終わっている
車でぐるりと回ってみると、松山駅北側の南江戸町踏切から松山駅と松山運転所が一望できます。
区画整理事業の総面積は、約16.7ヘクタールと、都市開発事業としてはかなり大型です。
松山市は、JRでなく伊予鉄道の松山市駅や電車線大街道駅が発展していてJR松山駅周辺の開発は、上手くいっていません。
これは、
鉄道施設による東西の分断によって都市の発展が阻害されてきた典型的事例と言えます。実際、南江戸町踏切は、渋滞の名所であり、頻繁に自動車が踏切に閉じ込められる怖い踏切です。
松山駅東側に回ると、
市内電車線(路面電車)のJR松山駅前電停にでますが、路面電車はJR松山駅に乗り入れず、少し離れたところを環状運転しています。
土佐電鉄市内電車線の高知駅乗り入れにみるように、
路面電車のJR駅への乗り入れ(接着)は、効果が大きく今までなぜしなかったのかが疑問です。全国でも路面電車や地下鉄のJR主要駅への接着はすすめられています。
またJR松山駅の駅舎は、今となっては珍しくなってきた
国鉄規格型の駅舎です。残して欲しいという希望も持つのですが、やはり二階にかつては物産店、
今はダイソーしかないというのは余りにももったいないです。
駅前広場は狭く、長距離バスや空港リムジンバス、タクシーの発着場としては手狭です。やはり現状のままでは、県都松山市の表玄関としては、余りにも貧弱に過ぎ、使い難すぎます。松山市は、四国の行政の中心という性格も持ちますので、この松山駅とその周辺の旧態依然ぶりには驚かされます。
駅の高架化や区画整理事業は、2020年代後半に終わる見込みということですが、
20年遅いという感が強いです。欲を言えば、30年前までに終えていれば、様相はかなりちがっていたでしょう。
南江戸町踏切から撮影した松山駅(左)と松山運転所(右)2019/10/19牧田撮影
この踏切は、大渋滞が毎日発生し、車の閉じ込め事故が頻発している
伊予鉄松山市内電車 JR松山駅前 2019/10/19牧田撮影
電停が、JR松山駅に接着(乗り入れ)していないために利便性が低い
JR松山駅前交差点 2019/10/19牧田撮影
今となっては減ってしまった国鉄の標準的な規格駅舎に飾り屋根を付けたもの。駅前広場を含め、現在ではかなり使いにくい構造となっている
松山駅空撮写真2010/04/29国土地理院
踏切からの地上写真は、この写真中央上の踏切から撮影したもの。
松山駅本線を中心に東側に松山貨物駅、西側に松山運転所があるため、町が分断されている。写真下を東西に通る松山空港線は、鉄道をアンダーパスしているが、豪雨時に水没の恐れがあるなど、閉塞の可能性がある。
松山市内線電車は、駅前で北へ90度曲がっており駅に接着していない
国土地理院 地図・空中写真閲覧サービスより
松山駅連続立体交差化、松山運転所・松山貨物駅移転、松山駅周辺区画整理事業については、愛媛県の
パンフレットと、新設される南伊予駅*隣接の松山運転所・松山貨物駅移転先案内**をご覧ください。
〈*
JR予讃線への新駅設置について〉
〈**
車両基地・貨物駅、北伊予駅改良の事業概要〉
今後の少子高齢化による人口の急減では、21世紀末には四国からすべての自治体は消えてなくなるという最悪事例での直線予測がありますが、実は愛媛県は四国四県の中で最後に消えるとされています。そういった悪条件の中での都市開発事業はなかなか難しく、せめて20年前に終えていればと悔やまれますが、そうではあってもこうかはばつぐんとなってほしいものです。
今回はここまでとして、後半で中のイベントを写真いっぱいでお届けします。
◆コロラド博士の「私はこの分野は専門外なのですが」JR四国松山運転所一般公開編1
<取材・文・撮影/牧田寛>