パチスロ人気機種大型撤去目前。「撤去イベント」に潜むホール側の思惑と業界の未来

パチスロイメージ

よっしー / PIXTA(ピクスタ)

人気機種の大型撤去、いよいよ目前

 パチンコ業界は年末の大型撤去に戦々恐々としている。  2018年の規則等改正に伴い、「パチスロ モンスターハンター 月下雷鳴」、「バジリスク~甲賀忍法帖~絆」、「アナザーゴッドハーデス-奪われたZEUSver.」、「ハッピージャグラーVⅡ」等の設置期限がこの年末迄となるからだ。これらの機種は、パチスロユーザーから絶大な支持を得ている人気機種で、パチンコホールにとっても経営の柱となるものである。  これらの機種の設置台数は全国で10万台以上に上り、みなし機等、他の機種と合わせれば、パチンコ業界全体で15万台を超える台数が撤去される事になる。  このような状況下で、一部のパチンコホールでは、人気機種の「撤去イベント」が実施されている。その引き金になったのは、本サイトに寄稿した「全国のパチンコ店が、一斉に鹿目まどかの誕生日を祝った謎」でも紹介した「SLOT魔法少女まどか☆マギカ」(以下「まどか」)の撤去である。  パチスロ「まどか」の設置期限は、一部地域を除いては先月10月の末であった。パチンコホール側は本機種の撤去を大々的に「宣伝」したし、多くのユーザーは「最後の遊技」を目的にパチンコホールに足を運んだ。全国的なデータを見ても、明らかに本機種の稼働は上昇したのだ。  年末にかけて続々と撤去される人気機種。パチンコホールが間違いなく「実施」するであろう、これらの機種の「撤去イベント」。そこに潜むホール側の思惑について考える。

お客との「信頼感」作りに投資できる余裕があるか否か

 一般的な視点でパチンコホールの経営を考える時、撤去される機種に高設定を入れる理由は限りなくゼロに近い。いくら出玉を演出したり、機種の遊技性(面白み)をアピールしたりしたところで、撤去されてしまうのであれば、ユーザーの再来店に繋がらないし、単なる粗利を目減りさせるだけだからだ。  しかし、昨今の業界事情を勘案したうえで、より大きな経営的視点から見れば、撤去機種に高設定を配分することは、パチンコホールにとって一概にマイナスとは言えない。撤去機種への高設定配分は、そのまま当該ホールへの、ユーザー達の「信頼感」に繋がる。  信頼感とは即ち、「このホールは高設定を入れるお店」という認識である。  新規則機であるパチスロ6号機の特徴の一つは、設定推測要素が豊富なことだ。仮に奇数設定示唆演出(※パチスロは1~6の6段階設定で、数字が高いほど出玉率も高い)が表示されたとして、そのホールに信頼感があれば、ユーザーは「設定5」かも知れないと期待感を膨らませるが、逆にユーザーの信頼感が薄ければ「どうせ設定1だろう」と諦められてしまう。ユーザーの信頼感は、そのままパチンコホールの売上に直結する。  パチンコ業界は、冬の時代真っただ中である。  パチンコホール数は減少に歯止めがかからず、ユーザー数も全盛期の3分の1以下になった。一方で遊技機の価格は上昇し続け(1台約45万円~50万円)、ホール内の付帯設備に対する投資も嵩む。それに加え、様々な依存症対策を講じざるを得ず、広告宣伝すらままならない状況である。  そのような中、人気機種の「撤去イベント」は、ホール側のイベント示唆の要素も多分に含まれるが、しかしどちらかと言えばユーザー側がより盛り上がるイベントである。ユーザー側が発信する期待感に応えることで、パチンコホールは今後生き残るための信頼感を獲得するしかない。  全国のパチンコホールを見渡せば、人気機種の撤去イベントからは、このような思惑が透けて見えるはずだ。
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撤去イベントへの在り方が今後の分水嶺となる可能性も
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