大荒れ必至のポンド相場。ブレグジット、最後の荒波にはこう備えろ

ブレグジット

photo by Stux via Pixabay

 ブレグジット交渉決着へ。そのカギを握るのが12月の総選挙。現状、離脱を進める保守党が優勢だが、まさかのEU残留シナリオも見えてきた!?

大荒れ必至! [最後のブレグジット]に備えろ!

 ’16年の国民投票で英国のEU離脱が賛成多数となってから3年、長い戦いが終わりを迎えようとしている。12月12日に総選挙を実施して、改めてブレグジットに関して英国民に信を問うことが決定したのだ。これで離脱派のボリス・ジョンソン首相率いる保守党が大勝すれば、来年1月31日をもって正式にEU離脱が開始される……が、事はそう予想どおりには進まなそう。元為替ディーラーで英国在住の松崎美子氏が話す。 「保守党の優勢は変わらないものの、野党第1党で2度目の国民投票を要求している労働党が巻き返してきています。’17年の前回総選挙では、圧倒的に保守党が優勢と伝えらえていたのに、日を追うごとに支持が低下し、最終的にまさかの過半数割れに終わりました。今回も同じように保守党が単独過半数(326議席)を取れないようなら、またもEU離脱に向けた審議が難航する可能性があります」

12月12日の総選挙→来年1月31日についに離脱?

総選挙に向けてポンド急騰相場がやってくる!?

〈ポンド/ドル〉週足チャート
総選挙に向けてポンド急騰相場がやってくる!?……ポンドは’16年の国民投票でEU離脱が決定的となって暴落。’17年には英中銀の利上げで値を戻したが、合意なき離脱の可能性が浮上して再び下落。12月12日の総選挙に注目だ

 ご存じのとおり、ポンド相場はブレグジットに振り回されっぱなしだ。’16年の国民投票を受けて、ポンド/ドルは半年ほどかけて1.50から1.20まで3000Pipsも下落。英中銀の利上げに伴い、’18年前半には1.40を回復したものの、EU側との離脱交渉が遅々として進まず、再び下落トレンドへ。「EU離脱を遅らせるぐらいなら、のたれ死んだほうがマシだ!」という離脱強硬派のジョンソン政権が今年5月に誕生してからは、「合意なき離脱」の可能性が高まり、一時1.20の節目を割り込む場面も見られた。「1.00まで下落するという予想も出た」(元外銀為替チーフトレーダーの西原宏一氏)という。ところが、ジョンソン首相は土壇場で逆転満塁ホームランを放った。 「EU離脱案で最大の懸念事項となっていたのが、英領北アイルランドとアイルランド共和国との国境問題。英国が離脱すれば、北アイルランドも離脱することになるため、その国境での人やモノの行き来が妨げられてしまう。それを防ぐためにEU側は『北アイルランドだけはEUの単一市場と関税同盟に残るバックストップ(安全策)を設けるべき』と提案しましたが、英国が拒否して交渉は難航していました。この問題をジョンソン首相は独自の交渉力で解決したんです。アイルランドのバラッカー首相と直接交渉して、バックストップに代わる新たな枠組みに関して合意を取りつけてしまった。  簡単に言うと、北アイルランドはEU単一市場のルールに従うが、今後ルールに従うか否かは北アイルランド議会に決定権を委ねるというもの。民主的手続きを取り入れた枠組みにバラッカー首相は納得してEU側も了承。これまで離脱協定案を否決し続けてきた英下院も、ついに協定案の基本方針については承認したのです」(同)
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ハングパーラメントならEU残留でポンド急騰も!?
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