大荒れ必至のポンド相場。ブレグジット、最後の荒波にはこう備えろ

ハングパーラメントならEU残留でポンド急騰も!?

 これにより、“合意ありの離脱”が現実味を帯びて、ポンド上昇相場へ。西原氏はこのトレンド転換で数百Pips以上の値幅を取ることに成功したという。当然、今度の総選挙に向けて、ポンドは大荒れ必至! 荒稼ぎできるチャンスが目前に迫っているのだ。で、一体、どう推移するのか?
英国総選挙で予想される各政党の獲得議席

英国総選挙で予想される各政党の獲得議席

「考えられるシナリオは大きく2つ。総選挙を経て保守党が単独過半数を獲得するか、否かで分かれます。過半数獲得なら1月31日の期限前に合意ありの離脱がほぼ確定的となって、ポンドは急騰することでしょう。外資系投資銀行などはポンド/ドルは1.40まで上昇する(直近1.28)と予想しています。直近の保守党の支持率から予想獲得議席を計算すると、最低でも351議席となるので、これがメインシナリオ。一方で、過半数割れなら、EU離脱協定案を可決させるハードルが高くなる。元保守党議員などを取り込む多数派工作で法案可決に持ち込むと予想していますが、一時的にポンドは売り込まれて対ドルで1.26ぐらいまで売り込まれると見ています。ただし、ジョンソン首相のバックには’16年の国民投票でEU離脱派を賛成多数に導いた“キャンペーンの天才”カミングス上級顧問がいます。この人は負ける戦をやりません。現在7議席持っているシン・フェイン党は一貫して採決に不参加の姿勢を示しいるほか、英下院の議長・副議長には議決権がないため、“実質的な過半数”は320議席。ジョンソン首相がこれを確保するのはそう難しくないと考えています」(松崎氏)  実は、仮に保守党過半数割れとなってもポンドが大爆騰するケースが考えられるという。 「ロンドンの為替ディーラーに聞いたところ、ハングパーラメント(どの政党も単独過半数を獲得していない状態)になる可能性が80%と予想していました。すると、保守党に代わり労働党が中心になって残留派の自由民主党などと協力して、再び国民投票を実施する可能性も浮上する。世論調査では残留支持が50%を超えているので、一転してEU残留が濃厚になる。EU側としては願ったりかなったりなので当然、承認するでしょう。その場合は、’16年の1.50までポンド/ドルが一気に急騰するのは必至です」(西原氏)  どちらに転んでもポンド高が進む可能性があるため、足元ポンド/ドルが1.27程度まで下押しするなら、絶好の買い場か? 総選挙情報をウオッチしながら、ポンド相場で一発逆転を狙うべし!

<ブレグジット交渉の変遷>

’16年6月 英国民投票で「EU離脱」が賛成多数に! ’17年3月 EU側に離脱を通告 → 離脱期限は’19年3月に ’17年6月 英国総選挙でメイ首相率いる保守党が当初の予想に反して過半数割れに ’18年7月 英外相ボリス・ジョンソン(現首相)が穏健離脱案に反発して辞任 ’18年11月 英臨時閣議で「離脱協定」の草案を承認→緊急EU首脳会議で合意へ ’19年1月 英下院で離脱協定案を大差で否決 ’19年3月 12日・29日と離脱協定修正案の採決を行うも2度とも否決 → 離脱開始延期へ ’19年5月 メイ首相が保守党党首の辞任を表明→ ボリス・ジョンソン首相就任「10月31日までにブレグジットを遂行する」 ’19年9月 英議会で「合意なき離脱」回避法案を可決→ ジョンソン首相は保守党造反者21人の党籍をはく奪 ’19年10月 17日に急転直下で英・EUが離脱協定修正案に合意 ’19年10月 22日に英議会が離脱協定案を初めて承認!→ スピード審議の日程案は否決され10月31日の離脱は不可能に。EU側が1月31日までの離脱期限延長を承認 ’19年12月12日 英解散総選挙 シナリオ1 ポンド急騰  ボリス首相率いる保守党過半数獲得→ 合意アリ離脱へ シナリオ2 ポンド下落 or急騰  過半数獲得ならず→離脱協定案の審議が難航/残留の可能性も 【松崎美子氏】 英国在住トレーダー。ロンドン・シティのバークレイズ銀行本店などで為替ディーラーとして活躍した後、独立。現在、欧州のファンダメンタルズ情報を有料サロン等で発信中 【西原宏一氏】 元外銀為替チーフトレーダー。シティバンクをはじめとした大手外銀で為替部門のチーフトレーダーとして活躍。現在は、有料メルマガで日々の自身のトレード情報を発信中 取材・文/池垣 完
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