自分を支配者であると信じて疑わない、モラハラ夫の異常性<モラ夫バスターな日々37>

話し合いは無理完成

まんが/榎本まみ

弁護士・大貫憲介の「モラ夫バスターな日々<37>

 「私、辛くて……」、結婚生活について尋ねると、相談に来た30代前半の女性は、むせび泣いた。  聞くと夫は、日常的に妻をディスり、モラを繰り返している。「(夫の言動は)モラハラですね」と私が言うと、妻は、「いえ、私にも落ち度がありますから……」と涙をポツポツとこぼしながら否定した。  会社員の夫は、平日は帰宅が遅く、朝は早い。女性は、夫と顔を合わせないようにしているという。週末は夫が家にいるので、なるべく外出している。  「離婚を考えたらどうでしょうか」と水を向けると、女性は首を横に振った。女性は、夫が結婚前の優しい彼に戻るのではないか、いつか、自分の辛い気持ちを理解してくれるのではないかとの希望が捨て切れない。  果たして、そんな日が来るのだろうか。以下、モラ夫の生態をおさらいしよう。

モラ夫は妻を追い込む

 モラ夫は、自らを家長/支配者と位置付け、日常的に妻を非難し、ディスる。これだけでも、妻は、追い詰められる。  しかも、矛盾した叱責も多い。例えば、貧弱な料理を出すと、機嫌が悪くなる。他方、生活費の切り詰めを要求する。些細なことも含め、家事、育児の不足に対し、執拗に非難し、努力不足を糾弾する。妻は怒られることを怖れ、ディスられることに怯え、どのようにしたら夫から非難されないか、怒られないか、先回りして考えるようになる。  ここまでくると、妻の心身には相当なダメージが蓄積している。それでも、モラ夫は手を緩めず、さらに妻を追い詰めていく。 1、妻の苦しみ、悲しみを「奪う」  自分の苦しみを夫に理解して貰おうとして、妻が「辛い」「疲れた」「悲しい」などと訴えると、モラ夫は、「俺だって辛い」「俺のほうが疲れている」「悲しいのは俺のほうだ」と妻の訴えを奪ってしまう。辛い、疲れた、悲しいとの妻の訴えは、モラ夫には届かない。 2、怒る/言わせるのはお前が悪い  仮に、妻に真実、落ち度があっても、それに対して、怒ったりディスったりしなくてもよいはずだ。家庭内に不都合なことがあれば、冷静に話し合えばよい。  しかし、モラ夫は、家長であり、支配者である。したがって、まるで上司が部下を叱るように、主君が家臣に怒るように妻を叱り怒る。大声で怒鳴り威嚇するモラ夫もいれば、ソフトかつ執拗に責めるモラ夫もいる。そして、「(俺を)怒らせるお前が悪い」「ここまで言わせるお前が悪い」など怒る/イジメること自体まで妻に責任を転嫁する。 3、妻の言い分を徹底して封じる  夫の非難に対して、妻が言い返すと、モラ夫は、「俺に逆らうのか」「反抗するのか」などとして、妻を封じようとする。妻の言い分に(少しでも)理があると、「突然言われてもわからない」「文句があるなら、そんとき言えよ」「なんだよ、今さら。キチンと言わないお前が悪い」と取り合わない。  しかし、実際に、妻が、キチンと意見や文句を言うと、「は?何言ってんの、意味わかんね」「偉そうに何様のつもり?」などと意見を押し潰す。妻は、その言い分を徹底的に封じられ、絶望する。
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「俺が社会のスタンダード、俺が世間の常識」
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