2019年もあと51日!「2000年問題」以降の「XX年問題」を振り返ってみた

不況を脱せない中で迎えた2008〜2010

 2008年は実は国家財政の危機を迎えていた。それが’98年に大量発行された10年国債の償還期限が到来したことによる「2008年問題」だ。償還額は40兆円。恐ろしい規模だ。一般的には財政投融資の導入などの対応策が講じられていたために回避されたという。ちなみに、この年、忘れられないもう一つの、世界的な経済的な出来事が発生する。「リーマン・ショック」である。  2009年はいわゆる「派遣切り」の問題だ。2004年の労働者派遣法の規制緩和により、製造業への労働者派遣が認められるようになり、それに伴い2007年に派遣期間が「原則1年、最長3年」へと延長になった。そしてもう一つ重要なのが、この間、2006年に偽装請負の問題が社会問題化したことである。これにより、企業側は規制が厳しい請負から派遣へと移行したため、派遣契約の労働者が一気に増大した。その増大した派遣労働者を3年の期間で正規雇用に移行する企業などは少なく、一気に契約を切られるのではないかと危惧された問題だ。  実際、派遣切りも問題だったが、リーマン・ショックの都合もあり、3年を待たずして派遣を切られることもあり、「一気に派遣切り」は出なかったが、非正規雇用にとって不利な状況はこの頃も今も変わりがない状況は続いている。  2010年は再びコンピューターの年数処理でバグが生じるという「2010年問題」が密かに発覚していた。シチズンのワールドタイムで日付が誤判定されたり、プレステ3で2010年がうるう年と判定される、いくつかのシステムでICカードが不能になるなどの問題が生じた。  また、アメリカ政府標準暗号の切替が行われたことも事前には「2010年問題」と言われたが、移行はスムーズに行われて大きなトラブルもなく完了したという。  製薬業界にも「2010年問題」はあった。これは年間売り上げ1000億円クラスの医薬品の特許切れが世界的に集中し、医療メーカーに大きな影響をもたらすと言われたものだ。  予想通り、大手の有名医薬品はジェネリックとシェアを分配することになり、打撃を受ける結果に。業界再編が行われる結果になった。  以上、足早に2000年から2010年までの「XX年問題」を振り返ってみたが、後編では2011年から2020年以降の「XX問題」について見てみたい。 <文/HBO編集部>
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