教育関連の2002年、オフィスビル過剰供給の2003年
2002年はあまりメジャーではないが、教育関連で2002年問題というのが存在していた。
これは2002年から実施された新学習指導要領のことで、
・小中学校における学習内容の3割減
・授業時数の削減
・完全週5日制
などが採用された。
勝手に決めておいてあとから「問題」というのもどうなのかという気がしないでもないが……。
2003年は六本木ヒルズや汐留エリアや品川駅東口などオフィスビルが数多く竣工した。しかし、その一方で日本経済はまだ低迷時期にあり、真新しいビルも空きテナントばかりになるのではと危惧されたのである。
しかし、蓋を開けてみればそれらの新築ビルはちゃんと埋まった。その代わり、中小のビルに空き室が増えてしまい、淘汰は起きた。2020年オリンピックを前にそれらの中小ビルが再開発で再び新しい大きなビルに建て替えられている地域もあるが、果たして人口減少が加速する今後、どうなっていくのかは不明だ。
2004年はオフィスビルではなく、マンションの供給過多で大幅な値崩れが危惧された。しかし、投機や相続税対策の購入が目立ち、大きな値崩れは起きなかった。ただ、オフィスビル同様、2020年のオリンピック以降は不動産業界では値崩れが再び危惧されているようだ。
2005年はEUが主体となって国際会計基準(以下IFRS)を適用しようとする動きが起こり、日本も対応を迫られた年である。結局賛否は分かれたが問題は先送りにされたので大きな問題にはならなかった。
2002年問題で取り上げられた授業時間を削減された世代が大学に進学することで危惧された問題。勝手に改革して授業時間削減をしておいてあとで「問題」だと言うとは、その教育を受けた世代にとってははた迷惑なことこの上ないが、日本の教育は常にこういうことを繰り返してきたとも言える。
このとき、大学教員が、従来は高校で履修していた学習内容を教える必要が生じるなど、現場の混乱が懸念された。
確かに大学によっては、何らかの対応を迫られたところもあったようだが、この時期は少子化が進んでおり、大学側も受験生獲得のためAO入試を筆頭に入学試験の多様化を行っており、入学する生徒の学力差が大きくなった時期でもある。
ゆとり教育が大きな影響を与えると言われた「2006年問題」だが、実際には大学が少子化時代に対応できたか否か、勝ち組と負け組の差が明確になったことこそが本当の問題だったのかもしれない。
人口動態の変化が「問題」となったのは「2007年問題」も同様だ。
2007年は1947年(昭和22年)~1949年(昭和24年)の第一次ベビーブームに生まれた世代、すなわち団塊の世代が定年となる60歳を迎える年だった。そのため、労働力人口の減少や技能・技術継承の断絶、大量の退職金受給に伴う企業収益低下などが懸念された。
しかし、年金受給年齢の引き上げが行われたり、政府が定年後再雇用や雇用継続、定年の廃止などを求めたこともあり、大きな影響はなかったと言える。