他人のツイートをリツイートしたら名誉棄損!? 橋下徹氏をめぐる裁判の異様な判決
SNSのリツイートで名誉毀損
橋下氏の主張だけを採用した判決
判決は本訴における橋下氏の主張を大筋で認め、反訴では岩上氏の主張を門前払いした。
この裁判では、7月4日に行われた第7回口頭弁論(この日に結審)で、原告の橋下氏の訴訟代理人である松隈貴史弁護士(橋下綜合法律事務所)が開廷時間の10時半になっても法廷に現れず、書記官が廷内から事務所に電話を何度もかけて捜索する異常な出来事があった。松隈氏が、法廷が分からずに民事第13民事部に立ち寄ったことが分かり、その数分後に法廷に入った。約15分の遅刻だったが、松隈氏は裁判官に向かって軽く挨拶しただけで、被告側には謝罪もせずに着席した。末永裁判長は松隈弁護士に注意もせず、何事もなかったように開廷した。
末永裁判長の訴訟指揮は、原告の橋下氏に有利な形で進められてきていたので、橋下氏寄りの判決が出ることもあるとは思ったが、裁判所が公人同士の言論上の争いに介入するのをためらい、本訴、反訴ともに請求棄却にするのではと予測していた。私には想定外の判決だった。
筆者も判決を何度も読んだが、末永裁判長はSNSの機能と実態について、独自の解釈をしており、岩上氏のリツイート行為で名誉毀損を成立させた理由づけには問題が多いと思われる。
また、この民事裁判は、原告も被告も著名な公人中の公人で、「表現・論評の自由を守るため、名誉毀損の認定は刑事、民事ともに抑制的に」という従来の法解釈を逸脱しており、原審が確定すればSNS上での自由な言論にとって大きな障害になる危険性がある。
橋下氏の影響下にある「維新」と安倍官邸は、憲法改定などの政治課題で協力関係にあり、岩上氏の支援者からは「安倍官邸に忖度した法務官僚の結論が先にあった不当判決だ」という声が上がっている。
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