ボスの部屋は立派だが、その一方で刑務所自体は古いままで30年間改善されないでいる。
1万1000人までしか収容できないカルテルのメンバー主体の刑務所に2万9000人を押し込めてぎゅうぎゅう詰めにしているという人権無視が横行しているのだ。しかも、政府は麻薬戦争を撲滅させるための具体的なプランもない。
一般の住民の中にも麻薬の密売に関与する人がいる。その中には多くの女性がいるという。子供を養うためには他に収入を得る道がないからである。警察に見つかれば刑務所に送られることは明白だ。逮捕されれば保釈金として1000レアル(27000円)が必要になるが、それは彼女らにとって大金で手に入れらない金額である。ということは刑務所から出られなくなることを意味する。それでも僅かの収入を得るために麻薬の密売に携わるのである。
メキシコの公共安全と刑事司法の市民審議会による年度別危険度の高い世界50都市のランキングの中に、ブラジルから正にカルテルが活発に活動している3つの州の首府マナウス、ベレン、マカパーがリストアップされた。
<文/白石和幸>