トランプ大統領とネタニヤフ首相。
(photo via The White House Photo by Leslie N. Emory /Public Domain)
イラン革命防衛隊(IRGC)の副司令官ホセイン・サラミ将軍は今年1月に「もしイスラエルが戦争を始めようとして何かをしでかそうとすれば、その戦争は自国の消滅を導くものになるであろう。また占拠していた領土は返還される。(そのような状況になれば)自分たちの死体を埋葬するための墓でさえもパレスチナに持つことはできなくなるであろう」と述べてイスラエルへの敵対意識を強調した。
また、ある記者がシリアにおける前線の抵抗勢力をイスラエルが攻撃しようとしている脅威について尋ねると、同氏は「イスラエルは全中東地域において軍事的挑発を行って自らの破滅に近づいている」と指摘した。一方のイスラエルはその攻撃はシリアでテロリズムと戦うための軍事的指導をしているイランの同国での影響力を抑制するものだとしている。(参照:「
HispanTV」)
9月になると、今度はサウジの石油施設が攻撃を受けるという事件が起きた。サウジ国防相のアル・マルキ報道官は「攻撃はイエメンから来たものではない。北から発射されたもので、イランが背後にいることは疑いの余地がない」と断言した。デルタ翼の無人機と弾道ミサイルYa Aliによる攻撃で、その規模からしてイエメンのフーシ派ではそれだけの能力はないとして、イラン革命防衛隊から発射されたものであると断定した。(参照:「
El Pais」)
この事例が示す意味はイランは必要とあらばイスラエルにも同様に攻撃を仕掛けることができるということである。
更に、11月にはイランは2か月前から濃縮ウランを日毎5キロ生産する能力を備えていることを明らかにした。即ち、それは2015年から比較して10倍に生産能力が増えたことを意味する。また、2015年の核合意で決められた濃縮度3.67%を超えて3.76%にあることも明らかにした。イランがこのように核への積極的な取り組みを表明している背後には制裁下にある原油の販売についてヨーロッパから打開策の提案を待っているのであるが、今のところヨーロッパからの具体案の提示はない。(参照:「
Infobae」)
このように核開発は止むことがなく、しかもいつでもミサイル攻撃をする用意のあるイランを前に、イスラエルのネタニャフ首相は将来への不安を非常に強めているという。そのような不安に駆られる中、ネタニャフ首相は10月31日、数人の閣僚を前に「
トランプ政権が少なくともこの1年間イランに対して有効な手段を採用することは期待できない」と語ったという。同様に、米国政府から中東地域におけるイランに対してより大胆な対抗処置がないことにも不満を表明したそうだ。