ボリバル革命以降、ベネズエラの石油利権に食い込んだロシア
世界で最大の原油埋蔵量を持つベネズエラので原油と天然ガスの開発において2004年頃までは米国とヨーロッパの企業で占められていた。
ところが、2007年からチャベス前大統領の社会主義革命による事業の国営化への影響を受けて米国やヨーロッパの多くの企業は撤退し、その代わりにロシアや中国の進出を見るようになった。そのような中にあって、現在も操業を続けている米国企業がシェブロンである。一方のロシアを代表するのがロスネフチだ。
トランプ政権のベネズエラ特使エリオット・エイブラムスがロシアの国営石油企業ロスネフチがベネズエラのマドゥロ政権を支えていることをフィナンシアル・タイムズ紙のインタビューの中で批判した。実際、ベネズエラ政権のナンバーツーのディオスダド・カベーリョもロスネフチの支援なくしてはマドゥロ政権は存続していくことはできなかったと告白している。(参照:「
ALNAVIO」)
実際、どのように支えていたのかと言うと、さまざまな方法があるが代表的なものは次のような例だ。ベネズエラで採油された原油はロスネフチを介してインドのナヤラ・エナージーに販売されているのである。ベネズエラの原油は米国の制裁下にあるためベネズエラから直接輸入できない事情をロスネフチがベネズエラの代行をしているというわけだ。この支払いもバーター貿易で現金での支払いではない。(参照:「
ALNAVIO」)
ロスネフチは今年7月にはベネズエラ石油公社(PDVSA)が採油する原油の40%を取得し、8月には66%にまで増やしている。そのようにしてマドゥロ政権のロシアへの負債を減額させてもいる。当初2017年に46億ドル(4970億円)の負債が、2018年9月には31億ドル(3350億円)に減額され、昨年末には23億ドル(2480億円)まで下がった。さらに今年第一四半期には18億ドル(1950億円)まで減少したことが明らかにされている。(参照:「
VOA Noticias」)
こうした状況に危機感を抱いているのはアメリカだ。
トランプ政権のベネズエラ特使エリオット・エイブラムスは、前出のフィナンシアル・タイムズ紙のインタビューの中で、米国石油企業シェブロンとそれに関連した石油と天然ガスの掘削などの企業ハリーバートン、シュラムバーガー、ベイカーヒューズ、ウェザーフォードがロスネフチと一緒になってベネズエラでの石油と天然ガスの開発を分担すべきだと発言している。(参照:「
ALNAVIO」)