入社3年、新米記者上海でキャッシュレス社会を体感。帰ってきてから旅行客も使えるように……
以前、「中国のファストフード店で現金を使おうとしたら、店長が出てきて大騒ぎになった」という投稿をTwitterで見たことがある。何を大げさな、くらいに笑っていた。先月、いざ上海へ旅行するとなったときも、大した下調べもせず「VISA・Mastercard二種類持っておけば、大丈夫だよね~」くらいに高を括っていたのだが……。
私は言いたい「せめて、銀聯カード*を作っていきなさい」と。そして出来るならば、現地ATMで100元札など引き出さず、手数料はかかっても日本で10元札を手に入れてから行きなさい、と。
<*中国銀聯股份有限公司(Union Pay)が運営する決済システム>
10月12日深夜、台風を心配しながらなんとか旅立った私は、無事上海へ。はるばる友人が空港まで迎えに来てくれることに申し訳なさを感じつつ、折角なので「リニアモーターカー」で市内まで移動することにした。まだ「上海浦東“国際”空港」にいるにも関わらず、窓口で「銀聯」以外のクレジットカードの文字は確認できない。そこはかとなく漂う不安感を無視して、中国キャッシュレス社会へと時速400kmで向かっていく。
東京で言うところの銀座のような「南京東路」に到着し、小腹を満たすべく立ち寄ったのは50mごとに乱立する「肯德基(ケンタッキー)」。タッチパネル式の注文方法は、中国に限らず海外ではよく見かけるが……、どこかおかしい。あるはずのクレジットカードの挿入口がそもそもないのだ。ケンタッキーでは「銀聯」すらもお呼びではないらしい。
友人に支払いを代行してもらい、無事にラップを手に入れたが、もし一人で来ていたら冒頭のツイートと同じようにことになっていたのだろうか。
クレジットカードを使えるお店はないのかと、目を皿にして「VISA」「Mastercard」の文字を探す。見当たらない、どんなに栄えたエリアだろうと見当たらなかった。自販機でさえもQRコード決済。サイバーテロに遭ったら、大混乱じゃないかといらぬ心配をしてしまうほど、現金もクレジットカードも使う隙が無い。
「タクシーで移動しようとしたら、開口一番『現金でもいいけど、おつりはないからね』って言われた」と現在中国留学中の友人の言葉から察するに、外国人旅行者は「おつりが出なくてもいいという気持ちで、現金を使う」ことしかできないのかもしれない。
結局、上海に滞在した3日間で、「VISA」という文字を確認できたのは、「H&M」と振り返れば日本人と出会える「田子坊」、そして「ディズニーランド」だけ。ちなみに、地方の空港から出発しているバスなどでは、逆に現金しか使えないため、「中国人がオロオロしている」こともあるらしいが、上海に限って言うならば、現金を求められることは一切なかった。
ケンタッキーで「銀聯」すらも使えない
「VISA」が使えるのは、H&MとTHE観光地の田子坊とディズニーくらい
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