「身の丈」発言は何を可視化したか? 不公正な「共通テスト」、延期で終わりではない<国会PV緊急街頭上映>

国会PVが緊急街頭上映! 

国会PV 法政大学の上西充子教授が代表を務めている国会パブリックビューイング(以下、国会PV。Twitter IDは@kokkaiPV)が11月4日、新宿駅西口にて緊急該当上映を行った。  テーマはもちろん、萩生田光一文科相による「身の丈」発言で、一気に白日のもとに晒された、あまりに杜撰かつ高校生たちのことを考えない不公正極まりない「大学入試改革」に伴う「共通テスト」の問題である。  ゲストには、早くからこの問題を指摘し、文科省前抗議行動などを呼びかけていた元高校専任教員の田中真美(@mami_tanaka)氏。  上映開始前に、田中氏は次のように語った。 「幸いにして今回は『延期』になりました。しかし、『身の丈』発言に代表されるように、『場所』の不公平性などだけに焦点があたっている今の状態だと、一年間の間にベネッセなどが『全国の会場で行います』などの整備をしてしまえば押し切られてしまいます。大学入試改革の問題点は、地域や場所の不公平性だけじゃありません。国語・数学の記述式問題や、そもそもスピーキングのテストを導入することだけが英語力向上になるのかなど、抜本的な問題を抱えています。『延期』や『見送り』で終わりじゃないんです。『あの世送り』にするまで声を上げ続けなければいけない」  それでは国会PVではどのように「大学入試改革」の問題を取り上げたのか。改めて見ていこう。

「共通テスト」をめぐる2つの大きな論点

 まず、モニタには「共通テスト」をめぐる2つの大きな論点が表示された。  1つは、民間英語検定試験(英検やGTECなど)を国立大学等の一次入試に組み込むというプランである。これは先日の国会で土壇場の見送りが決定し、今後1年かけて見直し、2024年実施を目指すということになった。  そして、問題はもう一つある。それは2020年度入試から実施されてしまう「国語と数学に記述式の問題を導入」するという点だ。  今現在、メディアで大きく取り上げられているのは前者の民間英語検定試験導入についてだ。これは、萩生田文科相の「身の丈」発言に端を発する「地理的格差」や「経済的格差」の問題が取り沙汰されたことが要因だ。  これについて、国会PVは10月30日の衆議院文部科学委員会の中から、この問題を早くから追及してきた国民民主党の城井崇(きいたかし)議員の質疑を紹介している。 城井議員:「そうした中で萩生田大臣から例の身の丈発言があったということであります。  先ほどこの文部科学委員会の冒頭で大臣から陳謝とともに発言の撤回の旨がございました。その発言のときに、自分の都合に合わせてという趣旨のご発言もあわせておっしゃいました。  このいわゆる身の丈発言が、なぜ受験生が怒り、なぜ教育政策に自分の人生が助けられたなという多くの方々が「何だ、あれは。貧しければ我慢しろということか」、こうしたことで怒りを覚えたのは何だったか、このことを大臣ぜひ理解をいただきたいというふうに思うんです。  教育の機会の均等や教育格差の是正が仕事の文部科学大臣から、身の丈に合った勝負をと言って、個人の努力ではままならない家庭の経済格差や地域格差による教育の格差の拡大を認め促す発言をされてしまいますと、こうした中身は、例えば教育を受ける権利を定めた憲法26条*には明確に違反をしますし、教育の機会均等を定めた教育基本法第3条**違反にもなります。言語道断であります。  問題は身の丈発言に示された大臣のこのずれた姿勢だけではありません。  大学入試に導入されそうになっている英語民間試験ですが経済的格差地理的格差といった個人の努力が及ばない現状に、自分の都合に合わせて、身の丈での対応を強いる。そして受験生側からすると従わざるを得ない入試になっている。いわば制度自体が「身の丈入試」になってしまっていることが、大きな問題なんです、大臣。  この「身の丈入試」も、憲法や教育基本法に照らしても沿わない内容であることは、明らかであります。  大臣は記者会見で、都合に合わせて適切な機会を捉え、二回の試験を全力で頑張ってもらいたいとの思いだった、こんなふうにおっしゃっています。  ただ、先ほど大臣もくしくも おっしゃいましたように、都合に合わせるも何も、受験開始の今5カ月前です5カ月前になっても、各民間試験をいつどこで何人が受けられるかさえ未定の状況です。  国の共通テストなのに、希望する全員が、希望する地域で必ず試験を受けられる状況ではありません。大臣、現時点で確定できていないですね。お答えください」 <*憲法26条:すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する> <**教育基本法第3条:国民一人一人が、自己の人格を磨き、豊かな人生を送ることができるよう、その生涯にわたって、あらゆる機会に、あらゆる場所において学習することができ、その成果を適切に生かすことのできる社会の実現が図られなければならない> 萩生田大臣:「先ほど私自身の問題意識も申し上げましたけれども、試験団体の皆さんには 11月1日付までに可能な限りの開示をそれを提示していただきたいということを申し上げている期限が、まだ11月1日ですから、その報告を待ちたいと思います」 城井議員:「そもそも、実施要領は2年前までに示すというのがルールだったんじゃないですか。ここが守られていなくて、11月1日には。実施の5カ月前ですよ。約束が違うんじゃないですか  そうやって文部科学省も実施団体も、実施する場所や内容や日時なども含めて、延ばして延ばして延ばして延ばしてきているのが現状じゃないですか」  なんと、実施要領を2年前に示すのがルールだったにも関わらず、実施5ヶ月前の段階で会場も日程も決まっていないという混乱必至の状況なのだ。
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「身の丈」で我慢することを減らすのが政府の仕事なのに……
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