受賞に際して、彼の妻であり、同基金の副会長であるマリア・ホセ・アレッギーが、「
El Espanol」のインタビューに答えてこう語っている。
「ALSによっていい人になることができた」
「ALSのお陰で自分の持っているものの価値をより評価できるようになった」
「この残酷な病気と今の厳しい時点でも、私とそして家にいるみんなが時を愉しむようにしている」
「過去のたくさんの写真を私は良く見ている。楽しく過ごした旅行や抱いていた願いや一緒に楽しく過ごした時を思い出すようにしている」
「この病気は非常に残忍で厳しく感情を劇的に揺さぶるもので、非常に難しい環境を作り出されてしまう。ALSの患者を介護している家族の皆さまへの、私からの深くそれを認識していることを表明したい」
また、彼女は、この基金の創設を推進するエネルギーになったのはルソンが「社会が与えてくれたものを社会に還元したい」と常に言っていたからだということも説明した。ルソン自身は銀行マンとして社会的成功を収めたが、幼少の頃は貧困と病気を経験したことがあった人物だ。苦学の末行った大学で、彼は成績優秀ということで優秀な学生に提供される奨学金を受けていた。
彼女によれば、ルソンは
「世界が明日終わるとわかっていても1本の木を植えたい」と言って最後まで生きるためのエネルギーを失わない人物だということだ。
この3年間のフランシスコ・ルソン基金の活動で達成したことは、「この病気が社会で知られるようになったこと。全ての自治州でALSで協力するための署名をしたこと。厚生省がALSについて国家プランでそれに取り組むようになったこと」を彼女は説明しした。スペインは各自治州が独立していて、保険衛生面においても自治州同士のコミュニケが少ないというのをルソンは病気になってから分かった。ALSの研究には自治州同士の協力が必要だと考えていた。その障壁を彼の基金で取り除くことができたのである。
また前述したように、ラ・カイシャ銀行と協力してALSの研究に奨学金を設けたことや家庭並びに病院での介護の最適化のためのプランを推進していることにも彼女は触れた。
また、彼女はZARAのアマンシオ・オルテガ財団について触れて、「経済的能力を備えているときは団結するのは容易だ。我々のそれと似たような組織はより多くの資金が必要。我々のプロジェクトは中期から長期にかけてのプロジェクトだ、意欲あるイニシアティブが3年、4年あるいは5年で終わるのは意味がない。我々の誓いもいずれは資金が尽きてしまう。このプロジェクトは継続させねばならない」と語って、豊富な財源を持つ同財団がルソン基金への協力に今のところ関心を示していないことを控え目に批判した。
私財が多額であれ少額であれ、社会の為に貢献する基金の存在は貴重である。
<文/白石和幸>