「サクラの学生を雇っていた」と、筆者へ実名での通報
※本記事、写真はすべてイメージです
10月18日、東京都と「東京しごと財団」(東京都の外郭団体。以下、財団)は、
「団体別採用力 スパイラルアップ事業の受託者における契約違反について」という報道発表を行った。
それによると、財団が「マンパワーグループ」(大手人材派遣会社。以下、マンパワー)などへ委託している合同企業説明会で「契約違反の事実が確認された」、具体的には「
金銭を提供して学生を集客していた」という。
つまり、
マンパワーなどが説明会を盛況に見せるため、サクラの学生を雇って参加させていたわけだ。
東京都と財団は、「(事実が確認された)2件の違反に係る合同企業説明会に要した委託費用約180万円を不支給とする」ほか、「過年度分を含めて本事業に関連する全ての合同企業説明会について、調査を実施し、同様の事案が発覚した場合は、厳正に対処していく」という。
なお「本件については、
令和元年7月に都に対して匿名の通報があったことをきっかけとして、都と東京しごと財団が事業者への聞き取り及び書類の調査を行い、これまでに上記の2件の契約違反があったことを確認した」としている。
実は、東京都と同時に筆者へも通報があった。しかも、実名での通報だ。
これは公益通報(内部告発)者の保護と、東京都の調査の公正さが問題となる事件なので、現時点で筆者も中間報告しておきたい。
マンパワー従業員の証言「学生1人当たり1万5000円を支払い集客」
マンパワーで働くAさんからツイッターのダイレクトメッセージが届いたのは、2019年7月中旬のこと。以下はAさんと筆者とのやりとりだ(明らかな誤字など、一部を修正)。
Aさん:企業側のための採用イベントを税金で運営していますが、学生を集客するために
学生1人あたり1万5000円を代理店に支払い集客しています。
当然、学生はその企業採用イベントには興味がなくても、バイト感覚で来ている。これって税金の無駄遣いだし、東京都および都民や企業を騙す行為だと私は思うのです。
しかし会社は毎年、当たり前のように金でサクラを使っています。
先ほど、東京都に
「不正な行為に当たるか」と確認の連絡をしたところ、直の担当者は不在でしたが
「不正行為にあたると思う」といった回答で、
「詳しく聞きたい」と言われました。やはり問題はあるかと思います。
筆者:とりあえず面従腹背で、証拠、特に物証を集めたほうがいいです。役員らの発言の隠し録りもいいと思います。証拠を固めきって動かないと、A(原文実名)さんが不利益を被ります。ちょっと東京都に言うのが早かったかもしれませんね。会社も警戒するでしょう。
Aさん:代理店を通しているので、会社は
「サクラを利用しているとは知らなかった」と代理店に責任を押しつけることは可能だと思います。
筆者:その責任逃れを許さない証拠固めが必要ですね。
Aさん:私は会社には恨みはないのですが、税金の無駄遣いはちょっと心が痛いというか、やめてほしいのですよね。血税ですから。企業が人材採用できると期待して参加しているのに、サクラを呼んでいるとは申し訳ないです。こんなことを、
少なくとも3年は続けています。
筆者:詐欺ですね。