社内で不正の証拠を集めるAさんに、東京都就業推進課から連絡
以後、Aさんと筆者はツイッターのダイレクトメッセージ、メール、電話で連絡をとるようになった。
Aさんが社内で不正の証拠を収集している時期に、東京都就業推進課から連絡があった。しかし、Aさんは以下のように伝えたという。
「調査した結果、問題がありませんでしたとなったら、会社での私の立場もあるので、詳細は一切お伝えできません。
理由は、東京都が身内で揉み消すことも考えられるからです」
2019年7月末、証拠固めが完了したので、筆者はAさんに
東京都の公益通報の弁護士窓口へ通報するようすすめた。Aさんは所定の通報用紙に不正の詳細を記入し、証拠文書を添付して弁護士窓口へ送信した。
以下、記入内容の一部を紹介する(一部の固有名詞をアルファベットに置き換えるなど修正)。
【通報概要】
東京都→公益財団法人東京しごと財団が委託をしているマンパワーグループ株式会社において、把握している限り2017年の学生合同説明会等のイベントにマンパワーグループは株式会社B(代表取締役はC大講師)に依頼をして、学生をサクラ(報酬を支払いイベントに参加をさせる)として2019年現時点までのイベントで複数回に渡り雇っている。
【具体的な通報内容】
2019年7月18日、ホテル「マロウドイン赤坂」で開催された就活合同説明会において、参加した約半数以上が株式会社Bを通して学生サクラを雇った。
また今週の2019年8月3日、浜松町マンパワーグループ株式会社の会議室で開催される東京管工事組合コンソーシアムとして開催する学生就活合同説明会においては、参加予定の約40名全員が株式会社Bに依頼した学生のサクラである。
マンパワーグループ株式会社は、恐らく株式会社Bがどのような手段で学生を集客したのか把握していないと言い逃れできると思っているようだが、マンパワーグループ社内ではイベントに「サクラを雇う」という会話が日常的に交わされおり、DとA(私)との会話の中で
ハッキリと「サクラを雇う」という内容の会話が交わされている。(録音あり)
翌日、弁護士からAさんへ以下のメールが届いた。
「通報を拝受いたしました。都の公益通報制度は、都の職員の違法行為を対象といたします。そこで、本件は制度の対象となりませんが、事柄が重要と思われますので、関係部署に情報提供いたします。通報ありがとうございました」
現在、Aさんはどう考えているのか。
「今回、東京都は合同企業説明会2回分の委託費用約180万円を不支給としましたが、
これは氷山の一角にすぎません。もし今後、無駄遣いされた税金の全額が返還されないなら、
もともと東京都や財団とマンパワーが癒着していたということだと思います」
確かに、従前、サクラの学生が合同企業説明会に参加していたことを東京都や財団が知らなかったのは不自然だ。なぜならネットで検索すれば、そのような「アルバイト」の情報はいくらでも見つかるからである。
今後、Aさんの処遇や東京都の調査の動きを見ながら、続報をお伝えしていきたい。
【文・写真/寺澤有】