落とし穴だらけの消費増税に伴うポイント還元と、そこから見える「切り捨て」政策

店員さえも頭を捻るシステム

 このキャッシュレス決済の還元制度は一般的には人気がないようだ。各種世論調査を見ても、ポイント還元策が始まったので積極的にキャッシュレス決済を始めたと言うのはごくごく少数派になっている。ゼロではないが新しく2割、3割の人が始めたと言うデータを見たことがない。とどのつまり、細かく得したいといつも頭で考えて、この複雑な還元制度をうまく利用している人だけが得しているのである。  なんで、あえてこんなことを確認したのかといえば、例えば、大手コンビニのセブンイレブン、ローソン、ファミリーマートなどは、キャッシュレスで買い物すれば、5%にはならなくても2%は割引されると思っている人が多いと思う。セブンイレブンであれば、クレジットカードやPayPayやLINE Payのスマホ決済、ナナコなどの電子マネーでレジで決済するときに、その場で2%マイナスになるので、ちょっと嬉しいと思い、どのセブンイレブンで、全てのローソンやファミリーマートでも割引になると思っている人が大多数だろう。しかし、実際は違う。大手コンビニでも割引対象にならない店があるのだ。  コンビニなどはフランチャイズが原則だ。しかし、コンビニ店舗には直営も大会社が経営する店舗もあり国の補助の対象から外れる。当初はこれらの店舗では、大手3社のコンビニは本部が2%分を補助するとして多くの人が全ての店舗が対象になると思われていたが、実際は割引対象になっていない店舗も多数ある。  複雑なので5%や2%の還元ポスターが出ていれば、すべてのキャッシュレスの決済手段が還元の対象になると思っている店舗の従業員も多い。店舗の従業員さえ分かっていないのだ。  私の住む街のある店舗は10月初めに5%還元のポスターを店に張り出した。しかし、5日もしないうちに一度取り外した。本部での手続きが終わっていなかったからだ。前回の買い物分、還元の対象になりませんと平謝りされた。そして、手続きが終わったのか、10日後に5%還元のポスターを再度張り出した。  この店はスマホ決済、クレジットカード決済、電子マネー決済などができるのだが、どの決済が還元の対象かは店舗のポスターに明示していない。何が、対象になるのですか?と質問したら困った顔をされてしまった

還元されるか否か、翌月の明細を見て初めてわかる!?

 コンビニのようにキャッシュレス決済の還元がレジの支払い時に戻ってくる場合は確認しやすいが、例えば通常の店舗でクレジットカードで支払いをした場合の還元の方法は、請求時に減額されるというのが原則だ。1ヶ月後にクレジットカード会社の明細をみて5%分差し引かれているのをみて初めて確認できる。そこまでひとつひとつの買い物のことを覚えている人などはほとんどいないだろう。  こうなったら還元されるかどうか運みたいなものかもしれない。  いろんな店舗を見て気がついたのだが、一部の事業体では意識的に、スマホ決済のみを還元の対象としているところもあるようだ。店舗側にしてみると、キャッシュレス決済の導入で売り上げが大きく伸びてくれるのならいいのだが、売り上げは大して伸びず、クレジットカード払いだけ増えるとなると、店舗からクレジットカード会社への手数料の支払いが増えるだけのためむしろ経営を圧迫する。  ところが一部のスマホ決済では、店舗に対する手数料や初期費用を当面は無料にしている企業がある。店舗側にしては、様々なキャッシュレス決済であったとしても、店舗側の負担がなくして、顧客にメリットのある決済手段に誘導したいと思うのは当たり前だ。  ポイント還元は生活を守るためにも賢く利用したいが落とし穴だらけの複雑なものなので、ぜひ十分確認していただきたいと思う。
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優しさ、公平さ、が溶けていく令和日本
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