天皇陛下の即位を祝う、皇居・宮殿「豊明殿」で行われた「饗宴の儀」 (時事通信)
天皇陛下の「即位の礼」の儀式のひとつである饗宴の儀。
各国の元首を招いて行われた第一回(10月22日)、学術や芸術分野で功績のあった人たちや海外の日系人代表などを招いた第二回(10月25日)が催された。10月29日、10月31日にも予定されており、計四回の開催となる。
豪華な食事メニューも注目された饗宴の儀だが、計400人にも及ぶ各国のゲストを滞りなくおもてなしするのはなかなか大変だったようだ。実際に10月22日の饗宴の儀で配膳スタッフとして働いたという泉貴宏さん(仮名・50歳)に話を聞いた。
そもそもこうした皇室行事のスタッフとして働くには、どうやって応募すればよいのか?
「ネットで検索すると出てきますが、宮内庁御用達の配膳スタッフ派遣会社がいくつかあるので、そこに登録して雇ってもらうというかたちです。採用にあたって特別厳しい審査があるわけではありません。もともとこの業界で仕事をして長いのですが、今回の行事はめったにないチャンスなのでぜひ参加したいと思ったので応募しました。厨房と、ゲストに配膳するスタッフの間で受け渡しをする役だったので、服装も自前の普通の礼服でしたね(ゲストに配膳するスタッフは燕尾服)」
当日は、14時30分に皇居近くに集合して、事前に作成してあるIDパスをもらって、皇居に移動してその後は待機。19時くらいから準備が始まって、片付けが終わったのが23時30分というタイムスケジュールだ。携帯は待機場所に置いておくので基本的に使用禁止。ちなみにギャラはいくらくらいだったのか……?
「拘束時間9時間、実働時間が5時間弱でギャラは1万5000円でした」
大変だったことはゲストに合わせたメニューを間違えずに出すこと
饗宴の儀では、イスラム教の戒律に従ったハラールのメニュー、菜食主義者用の献立も用意されたことも話題になったが、こうしたメニューを間違えずにゲストに出すのはなかなか大変だったのだという。
「直前で、あの人はやっぱりこっちのメニューだった、この人は普通のメニューで大丈夫だった、みたいな変更がいくつもあって、それがすべて手書きのメモだったので、現場は混乱していましたね。戒律を配慮したメニューだけに、間違えた料理をお出ししたら大問題ですから。400人のゲストに対してスタッフは約100名。スタッフ一人の担当は4人なので余裕を持った人数だったはずなんですが、最後のほうはタイムテーブルも押し気味になってきて、時間内にメニューを出しきれるか冷や冷やしていました」