「お前の我慢が足りない」実家の親がモラハラ夫を擁護する地獄<モラ夫バスターな日々35>

再び、モラを受ける日々が戻ってきた

 そして女性には再び、モラ被害を受ける日々が戻ってきた。パートを辞めさせられ、日々の買い物、幼稚園の送迎以外の外出は禁止された。日々怒られ、ディスられた。夫は、突然、不機嫌になり、2、3日、口を利かないこともあった。  女性は怒られないよう、以前よりも夫の顔色を窺った。夫が帰宅する時間が近づくと、動悸がした。  そして、子どもたちに対して強く叱ることが、以前よりも増えた。子どもたちが泣くと、「泣くな」とさらに怒った。子どもたちは、ヒックヒックと泣くのを必死にこらえていた。或る時、その姿が、ふと、母親に怒られた幼い日の自分の姿と重なった。  このままでは、自分も子どもたちも壊れてしまう、そう思って、法律相談先を探し、私の事務所に相談に来たのだった。

モラ夫を擁護する実家の親からも隠れる必要がある

 DV夫やモラ夫から逃げる場合、子連れで逃げ、その居場所を隠すことが多い。  ちなみにDV夫やモラ夫は、自ら(妻が逃げ出す)原因を作りながら、子連れで逃げることを「連れ去り」と非難する。しかし、子どもを残して逃げるなどはあり得ない。家裁実務も、主たる監護者である母親が子連れで逃げることを問題視していない。  この女性は、半年も経たずに、再度逃げ出した。女性の両親は、決してこれを理解しないだろう。離婚も許さないだろう。そのため、女性は、夫だけでなく実家の親からも身を隠し、別居後、離婚調停を申し立てた。  以上、親がモラハラ応援団の場合、離婚のハードルは高くなる。しかし、それでも、決断と実行があれば、離婚は可能である。 <文/大貫憲介 漫画/榎本まみ>
弁護士、東京第二弁護士会所属。92年、さつき法律事務所を設立。離婚、相続、ハーグ条約、入管/ビザ、外国人案件等などを主に扱う。コロナによる意識の変化を活動に取り込み、リモート相談、リモート交渉等を積極的に展開している。著書に『入管実務マニュアル』(現代人文社)、『国際結婚マニュアルQ&A』(海風書房)、『アフガニスタンから来たモハメッド君のおはなし~モハメッド君を助けよう~』(つげ書房)。ツイッター(@SatsukiLaw)にてモラ夫の実態を公開中
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