「お前の我慢が足りない」実家の親がモラハラ夫を擁護する地獄<モラ夫バスターな日々35>

弁護士・大貫憲介の「モラ夫バスターな日々<35>

我慢したら完成

まんが/榎本まみ

「いい旦那じゃないか」  父は、娘の話を聞き終わると、一言、そう言った。  娘は一瞬、凍り付いたが、「でも、風俗通いは許せない」と声を絞り出した。父は、「まあ、男のサガだから、それくらい大目にみてやれ」と言った。  隣で聞いていた母は、「両親揃っていないと、子どもたちが可哀想」と娘をなじった。

実家は、モラハラ応援団

 この女性(30代後半)は、後日、私の事務所に相談に来た。夫のモラに耐えかねて、2人の未就学児の手を引いて実家に逃げたが、両親は、女性のモラ被害を理解しなかったという。  結婚当初に叩かれたことについては、「言い返したから(仕方ない)」。日々ディスることについては、「男は威張りたいもの」。家事・育児に無関心なことについては、「(彼は)真面目に働いてる」。  風俗通いについては「男のサガ」と取りつく島もない。セックスの強要や夜中の説教について、女性は、とても親に言えなかった。そして、結論は、両親とも「(お前は)我慢が足りない」であった。  女性は離婚したいと訴えたが、父は「離婚は許さん」、母は「子どもたちが可哀想」と反対した。毎晩説得され、結局、数日で夫の元に戻ることになった。

帰りの車は、妻を威圧するための“モラ運転”

 父が電話し、夫はその晩、車で迎えにきた。夫は、親に対しては、自らの不足を詫び、妻を大切にすると約束した。  しかし、宿泊を固辞し、妻子を乗せて車で実家を出発した。両親は、満面の笑顔で「いつでも遊びに来なさい」と言って、立ち去る車に手を振ってくれた。女性は、両親の安心した顔を見て、離婚に踏み切らなくてよかったと安堵した。  しかし、安堵が打ち砕かれるのに時間はかからなかった。帰路、夫は、子どもたちとは話すものの、女性をガン無視し、急発進、急ハンドル、急停止、無謀な車線変更、追い越しなどを繰り返した。女性は、怖い、から止めてと言ったが、それも無視された。  因みに、妻を不安にさせたり、自らの怒りを表現するための無謀運転(私は「モラ運転」と呼んでいる)は、ガン無視、ドアバッタン、壁パンチと並んで、多くのモラ夫によくみられるモラ行動である。
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再び、モラを受ける日々が戻ってきた
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