「ほとんど喋らないのに売る」営業マンが口を開くとき、何をどう切り出すのか?

青色のネクタイをしているビジネスマン

bee / PIXTA(ピクスタ)

「ほとんど喋らない、相方も口下手」なのに売り上げる営業マン

 みなさん、こんにちは。微表情研究者の清水建二です。本日は、微表情の実務世界―営業マン編パートⅡをお送りしたいと思います。 【前回記事】⇒ほとんど喋らないけど「売る」営業マン。一体何をしてるのか?  前回のおさらいです。某嗜好品を取り扱う会社で営業をするT・Yさん(30代・男性)。彼は営業のときに「ほとんど自分から喋らない」というスタイルで、相棒も「人見知りだから喋れない」という人なのになぜか高売り上げを誇る営業マンでした。  そんな彼は何をしていたのか? まず、二人一組での営業時、T・Yさんはお客さんの微表情・動作から、お客さんの「買う」「買わない」「悩む」をリスト化し、様々な角度からご自身の判断の答え合わせをする様子をお話ししてくれました。  このリストが正確になるまで具体的な営業トークは始めないようです。また、T・Yさんは前回「僕は営業が嫌いな営業マンだ。」とおっしゃいました。その意味が今回明らかとなります。  いよいよ、T・Yさんの口が開きます。お客さんが「買う」反応をした商品をお客さんの右側に、お客さんの「買わない」は左端に、「悩む」は正面に置き、営業トーク開始です。

営業が嫌いな営業マンの営業トークとは?

『悩む!』商品の中でも最も動作が乖離した反応のものを指差して、『この商品についてどう思われますか?』と質問します。そこから深堀りをしていきますが、『買わない!』商品を利用した展開をしていきます。  例えば、 僕:この商品についてどう思われますか? 客:いいよね~ 僕:どの辺がいいと思いますか? 客:○○の部分のラインがいいよね~ 僕:ラインがいいですよね~。他には? 客:あと、全体的なバランスがいいと思う 僕:バランスですか……。へんなこと聞きますけどバランスがいいというのはどういうことなのでしょうか。例えばこの商品(『買わない!』リストに入れた商品)と比べてどうでしょうか 客:それはね……。  と一つ一つ、訊いていきます。 (営業の)相方が『そんなこともわからないの?』のような軽蔑のまなざしを僕に向けてくれると尚良いのです。そうすることでお客さん側にも優越感が生まれることがあるからです」

客にプレゼンさせることで商品への愛着を持たせる

 このように「悩む」商品が「買わない」商品に比べて、相対的にさらに良い商品になり、「買う」リスト入りしていた商品だけでなく、「悩む」リスト入りの商品も購入してもらえる可能性が高まるとのことです。  さらに「買わない」リスト入りの商品が、「買う」リストに入ることもあるようです。 「ちなみに、お客さんに商品を誰かにプレゼンしてもらうことでその商品に愛着が湧いて購入動機に傾くことがあります。プレゼンする商品に愛着が湧くことで『買わない!』リストの商品が『買う!』リスト入りしたりすることがあるのです。」  T・Yさんの微表情観察、非言語観察、そして質問を用いた商品の提示の仕方、その一つ一つのどれもがとても高度であることがわかります。それを実に自然に使いこなされている様子が伺えます。まさに科学的知見を体得している、という言葉がピッタリでしょう。
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「いらないなら買わなくてもいい」スタンスで1500万円の売り上げ
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