ほとんど喋らないけど「売る」営業マン。一体何をしてるのか?

営業マンイメージ

高売り上げを誇る営業マンほど、無駄な動きをしないものである

「微表情」を読み取るスキルは営業でどう活用できるか

 みなさん、こんにちは。微表情研究家の清水建二です。本日は、微表情の実務世界・営業マン編をお送りしたいと思います。微表情スキルを持つ営業マンは、どのように微表情スキルを駆使し、営業しているのでしょうか。  某嗜好品を取り扱う会社で営業をするT・Yさん(30代・男性)。東京都内を中心に日々外回りをしていらっしゃるとのことです。T・Yさんは開口一番、「僕は営業が嫌いな営業マンだ。」とおっしゃいます。それはどんな意味なのでしょうか。 「ツーマンセル(二人一組の営業形態)で商談したときのことです。  このときの僕の相方は、商品についての知識・専門性は高いものの社交性は低い人でした。理由があって、僕がその人を相方として選びました。  相方からは『人見知りだから喋れない』と宣告されていましたが、経験上、人は訓練されていない限り10秒と沈黙を保てないので問題ないと思いました。一方、僕は存在理由を疑われない程度にしか喋らないと決め、営業先に向かいました」  お客さんの元へ到着し、雑談などで空気を温めた後、商品を並べお見立て会が始まります。このとき、その場にいる人々が一斉に沈黙し、パリッとした空気になるとT・Yさんは表現されます。ここからT・Yさんの微表情観察スキルが活躍します。

お客さんの微表情から「買う」「買わない」「悩む」をリスト化する

 「僕はお客さんの顔や反応を観察し、『買う』『買わない』『悩む』のリストを脳内で作成します」  なんでもT・Yさんは、お客さんが商品を「買う」「買わない」「悩む」、どの状態にあるのか分類するそうです。具体的にT・Yさんの視点を伺います。 「『買う』商品の反応は、表情は驚きと幸福の混同表情に、『お!』という発言が出ます。顔を近づけ様々な角度で商品を舐めるように見ます。メガネをしている場合はメガネを外し、商品をよく観ようとすることもあります」  良い商品だとすぐに驚き、笑顔になる。こうした表情・動作のコンビネーションから「買ってくれそう」だと判断できるようです。 「『買わない』商品の反応は、表情はリラックスして中立(無表情)と言っていいでしょう。商品を取っても顔を近づけることもなく、さっと見て早々に置きます」  興味がないものには無表情で反応するということなのですね。さて、「悩む」反応とはどのようなものでしょうか。
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客のリアクションが多かったり、他と乖離していれば「悩む」リストに
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