「ひどいことが起きていることを知らせてほしい」。入管被収容者から届いた血染めのTシャツ

再収容された後、ハンストを再開

 このように再収容されたハンスト者は、筆者の知る限りでも十数人いる。シャーラムさんもデニズさんも、再収容されたその日のうちにハンストを再開した。 「収容に耐え難い傷病者でない限り、収容を継続しろ」との指示があるならば、その傷病者になるには、ハンストをして自分を痛めつけるしかなかったのだ。  筆者は5日後の8月21日にデニズさんの面会に行ったが、そこにはすでに体力をなくして車椅子に乗ったデニズさんがいた。目にも精気がない。それでも「また仮放免されるまでは絶対にハンストを続ける」と言葉に力を入れた。

こんなひどいことが起こっていると、マスコミに写真を配信して伝えてほしい

デニズさんのTシャツは、手首を切ったときの血痕が付いたままだった

デニズさんのTシャツは、手首を切ったときの血痕が付いたままだった

 9月24日、デニズさんから電話が入った。 「一昨日、自殺するため両方の手首を切りました。外の病院で治療を受け、今、センターの懲罰房にいます。また自殺すると思います。私の血使ってサインした遺書をあなたに送る。それをいろいろなマスコミに広めてくれますか」 「え! とにかく私が行くまで待ってくれ」と、27日に筆者は面会に訪れた。話を聞くと、こういうことだった。 「9月20日、入管は私にまた仮放免を約束してくれました。でも、ここの偉い人がそのあとに私に言ったんです。『また2週間で戻すよ』って」  デニズさんはその絶望感から9月22日、コカ・コーラのアルミ缶を無理やりに二つに引き裂いて、手首を切ったのだ。首も切ろうとした。だが幸いにも近くにいたイラン人が「ダメ!」と体を抑えてことなきを得た。その後、外部の病院に搬送されて治療も受けた。  筆者との面会でちょっと落ち着いたデニズさんは、そのときに、「手首を切ったときのTシャツが血で汚れている。それを私の弁護士を仲介してあなたに送る」と言った。その目的は、とにかく「こんなひどいことが入管の施設で起こっていることを、マスコミに写真を配信して伝えてほしい」ということだ。
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入管はなぜ非道な「無期」収容を続けるのか
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