「ひどいことが起きていることを知らせてほしい」。入管被収容者から届いた血染めのTシャツ

「いつ出られるかわからない」絶望から自殺を図ったデニズさん

2017年、デニズさん自殺未遂

2017年の東京入管での自殺未遂を記録したデニズさんを撮影した写真。情報公開でこういった写真が出てくるのは珍しい

 以前なら数か月待てば実現していた仮放免が、もしかしたら生涯ないかもしれないということに不安を抱いたシャーラムさんは、「仮放免を得るためには自分の命を懸けるしかない」とハンストを始めた。  そして徐々に同調者が現れ、デニズさんも6月からハンストを開始。デニズさんにいたっては、ハンスト開始時点で3年も収容されていた。  デニズさんには愛する日本人の妻がいる。筆者は昨年秋から何度かデニズさんをアクリル板越しに取材していたが、そのたびに「奥さんに会いたい」と訴えていた。だが「会えない」現実に絶望感が心を覆ったとき、デニズさんは咄嗟に自殺を図った。公になっただけで、これまで5回の自殺未遂が記録されている。  2017年2月には施設の天井を破壊し、むき出しになった鉄骨にシーツをかけて首を吊った。だが幸いにも、シーツが伸びてつま先が床についたために事なきを得た。デニズさんにとっても、収容所から出る手段はもうハンストしかなかったのだ。

仮放免を認めるも、わずか2週間で最収容

仮放免の更新のために東京入管前に現れたデニズさん

8月16日、仮放免更新のために東京入管前に現れたデニズさん。取材陣からの取材を受けるが、数時間後、再収容された。その5日後に車椅子生活になるとは予想もしていなかった

 7月9日。1か月以上もハンストを続けていたシャーラムさんが仮放免された。だが、その日の朝、仮放免の決定通知書を見たシャーラムさんは驚いた。仮放免期間がわずかに13日間だったからだ。  そして見送る側のデニズさんたちも驚いたのが、入管職員が「彼は2週間で戻ってくるから」と言ったことだ。果たして7月22日、仮放免の更新手続きのためにシャーラムさんは東京出入国在留管理局(東京都港区。以下、東京入管)を訪れたが、そこで更新「不許可」を告げられ、その日のうちに牛久入管に再収容されてしまった。  デニズさんは「入管は、私たちハンスト者に『ハンストしたって無駄だぞ』と思わせようとしたけど、私たちは逆に怒った」と語った。それを機にハンスト者は増えて、一時期には100人にまで膨れ上がった。  そして、ハンストを続けていたデニズさんにも、ついに仮放免の許可が出た。だが8月2日、仮放免の朝にデニズさんが知ったのはやはり「仮放免の期間は2週間」というものだった。この時点でデニズさんは、自身も再収容されることを怖れた。  3年2か月ぶりに会える妻と、たった2週間だけの再会をしてまた収容される。そして2週間後の8月16日、その通りになった。デニズさんの仮放免も更新されることはなく、即日で再収容されたのだ。
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入管内部の惨状を、写真で伝えて欲しい
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