国会議員の“統一教会”イベントへの出席に、弁護士団体が再び要望書。取りやめた議員はいたか?<政界宗教汚染〜安倍政権と問題教団の歪な共存関係・第19回>

昨年6月にも議員に申し入れていたが……

 全国弁連は昨年6月にも、参議院議員会館で緊急院内集会を開き、衆参の全国会議員に対し統一教会イベントに出席したり支援を受けないよう要請する同様の声明を採択、各国会議員事務所に声明文を届けている。しかし、この「忠告」にもかかわらず、直後の教団イベントに来賓出席する議員が続出したことは当連載で報じた通りだ。 〈参照:弁護士団体の要請を無視、“反社会的”教団の式典に来賓出席する閣僚たち|HBOL〉  この来賓議員や祝電議員の名を筆者が当連載等で報じた他、今年9月の内閣改造で登用された議員と統一教会との関係を指摘する報道が相次いでなされたことから、全国弁連の要望書を読み今回の愛知での教団関連イベントへの出席を取りやめた議員が相当数いたと思われる。  ただ、教団の喧伝していた人数からは半減したとはいえ、今回も全国弁連の要望を無視する形で教団イベント参加した国会議員がこれだけいたということは看過できない事態だ。

北朝鮮訪問への国会議員帯同計画

 全国弁連の東京事務局長である渡辺博弁護士(田村町総合法律事務所)は全国集会の冒頭、「韓鶴子総裁が2020年までに繰り返し7か国の主権を握らなければならないと語っており、日本を含む国家復帰を画策している」と基調報告を行った。  教団の狙いは教祖夫妻の主権によって国家を動かすという国家復帰にあり、そのために政権与党の政治家に接近しているというのだ。  渡辺弁護士は会見で「国会議員の秘書をしていた元統一教会信者からの情報」として、「以前は100人以上の秘書が自民党を中心とする国会議員事務所に送り込まれ、その秘書たちが招集されて国会議員が知らないところで会議を開き自分の仕える国会議員の動向報告を行っていた」と政界工作の一端を明かした。 「秘書が送られた目的は国家復帰、統一教会の国を作るために送り込まれている実態は今でもあると思う」  また渡辺弁護士は「自民党の多数の国会議員との緊密な関係が明らかになってきている。これまで教団が霊感商法について捜査当局による摘発を逃れることができたのは自民党国会議員の後ろ盾のおかげ」と指摘した上で、韓総裁による仰天計画を暴露した。
全国霊感商法対策弁護士連絡会の会見

全国霊感商法対策弁護士連絡会の会見(9月28日、都内)

「韓鶴子は北朝鮮の金正恩から訪問許可を得ている。教団関係者に『いつ行くんだ?』と訊いたら『お土産が必要なんだ、ごっそりお土産を持っていかないと行けない、お金もそうだが韓国と日本の国会議員を連れていくことで計画が進んでいる』と答えた。アフリカでの大会についていく自民党の国会議員もいる。北朝鮮を訪問できるとなれば宣伝になるとしてくっついていく議員がいるかもしれない。そんなに遠くない時期に北朝鮮訪問が行われる見込み」  北朝鮮訪問に日本の国会議員を帯同させる韓鶴子総裁の計画については当連載でも触れた。 〈参照:安倍政権と蜜月の関係を築く一方で、統一教会・韓鶴子総裁が日本の幹部に下していた仰天指令|HBOL〉  現改造内閣の新閣僚と副大臣の中でこの北朝鮮訪問団に参加するのではと見られているのが2017年2月、韓国で韓総裁から直接国家復帰の指令を受けた武田良太国家公安委員長山本朋広防衛・内閣府副大臣だ。韓総裁が日本の閣僚や副大臣を北朝鮮に連れていくことができれば格好の「手土産」になる。  会見で山口広弁護士はこうも語っている。 「安倍晋三首相は以前から統一教会と親和性のある政治家ということで警戒し、ダイレクトメールで直接『統一教会と連携するのはやめてください』と申し入れていた。しかし、この間の安倍総理の行動を見てみると、むしろ統一教会と親和性のある議員を大臣、副大臣や政務官に立てるということが目立っている」  政権首脳が問題教団と深くかかわっている現状では、全国弁連の要望書の効果も限定的なものに成りかねない。  次稿では教団メディアの報道から新たに発覚した来賓政治家と来賓国会議員数水増し疑惑について記す。(文中敬称略) <取材・文・撮影/鈴木エイト>
すずきえいと●やや日刊カルト新聞主筆・Twitter ID:@cult_and_fraud。滋賀県生まれ。日本大学卒業 2009年創刊のニュースサイト「やや日刊カルト新聞」で副代表~主筆を歴任。2011年よりジャーナリスト活動を始め「週刊朝日」「AERA」「東洋経済」「ダイヤモンド」に寄稿。宗教カルトと政治というテーマのほかにカルトの2世問題や反ワクチン問題を取材しイベントの主催も行う。共著に『徹底検証 日本の右傾化』(筑摩選書)、『日本を壊した安倍政権』(扶桑社)
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