ICRPは国際機関ですので、公用語は英語です。ですが、今回行われる勧告の更新は、日本で起きた原発事故の教訓を取り入れることを目的にしているため、多くの日本人からの声を聞くべく、パブコメでは日本語でのコメント投稿もOKとされています(参照:
ICRPが原発事故後の放射線防護に関する勧告をアップデート中。パブコメは日本語でOK|HBOL)。
そこで悩むのは、英語で書くか、日本語で書くか、です。今回の勧告更新に携わるICRP委員には2人の日本人(大分県立看護科学大学の甲斐倫明教授と原子力規制庁の本間俊充氏)がいますが、他は全員が外国人です(
Task Group 93 )。とすると、2人にしか読めない日本語で書くより、全員が読める英語で書いた方がいいのではないか?と思う方もおられると思います。しかし、―――
英語での作文に不慣れな方には、迷わず日本語で書くことをお勧めします。不慣れな方の英文は、往々にして(失礼を覚悟で言うと)意味がうまく取れないものになりがちです。日本人には日本人ならではの英作文の“癖”がある程度は分かりますので、日本人には何とか意味が取れる英文になっている場合もありますが、もしも日本人にすら意味が取れない英文になってしまっている場合、ICRP委員の誰にも理解してもらえないことになります。これではせっかくの投稿が無駄になってしまいます。
そのようなことになるのを防ぐため、英語での作文に不慣れな方は、日本語で書いた方がいいでしょう。日本語で書いておけば、少なくとも2人の日本人委員には理解してもらえるはずです。また、
更新版勧告(草稿)の編集委員(Associate Editor)を務めている藤田博喜氏(ICRP科学秘書官補佐)も日本人です。心強いです。
なお、2人の日本人委員が今回の勧告更新についてどのような考えを持っているかについては、以下の動画からうかがい知ることができます。
◆
甲斐倫明氏。ICRP新勧告(草案)についての学習会(9月2日)
◆
本間俊充氏。ICRP新勧告(草案)についての第2回ヒアリング(9月19日)
また、新勧告(草案)の原文は長大な英文ですが、日本各地の有志らにより、その全文が日本語訳されました(すごい!)。
◆
ICRPの勧告改訂草案の日本語訳を掲載中(NPO法人 市民科学研究室)
これでコメント投稿のハードルが一気に下がったのではないでしょうか。
パブコメの締め切りは10月25日です。さあ、コメント投稿の準備を始めましょう。
<文/井田 真人>