気鋭のクリエイター発掘のきっかけになるデザインアワード
デザイン経営やデザインシンキングなど、最近では「デザイン」に対する注目度が高まっている。一方で、クリエイターやデザイナーにとって、コンペティションやアワードで第三者から評価されることは、自分の活躍の場を見出すために有効な手段でもある。
クリエイターやデザイナーの育成・支援のために創設された
「LEXUS DESIGN AWARD」は今年で8回目を迎える。「Anticipate(予見する)」・「Innovate(革新をもたらす)」・「Captivate(魅了する)」を具現化した、次世代の活躍が期待される気鋭のクリエイターを輩出してきた。
9月17日には、「LEXUS DESIGN AWARD 2020 ~ デザイン・テクノロジーによる社会の未来の描き方」と題したトークイベントがLoftworkで開催された。
登壇者には、
ライゾマティクス・アーキテクチャー主宰の齋藤精一氏や
YOYデザイナーの小野直紀氏、LEXUS DESIN AWARD 2017 グランプリ受賞者であり
空間デザイナーの吉添裕人氏らが招聘され、世界に挑戦する若手クリエイターの可能性について議論が交わされた。
齋藤精一さん
まず、テクノロジー音楽アーティストのPerfumeやリオ五輪の閉会式の演出などを手がけるライゾマティクスの齋藤氏は、様々な領域においてデザインに対する認識や重要性を感じるようになったと説く。
「グッドデザイン賞の副委員長として色々なデザインを見る中で、一昔前はプロダクトデザインが主流だったのが、最近では仕組みや取り組みのデザインが当たり前になってきているのを感じた。2018年にグッドデザイン大賞に選ばれた『おてらおやつクラブ』は、お寺にお供えされる食品を、貧困問題に悩む家庭の子供におすそ分けする活動が、社会課題を解決する優れた取り組みのデザインとして評価された」
デザインと聞くと、かっこいいものやお洒落なものなど、抽象的な意味合いを想像するかもしれない。しかし、デザインの持つ役割は近年、ビジネスの課題解決だったり、世の中をより良くするための手段だったりと、広義な意味で捉えることが多くなってきた。
また、ITを活用したテクノロジーとデザインを組み合わせてどのように社会実装をしていくのか。このような文脈で、世の中にイノベーションを起こし、社会の未来を描く手段としても暫し語られる。
「建築やインフラや経済、金融、アートなど全ての領域を横断してデザインを考えるのが当たり前になった。つまり、あらゆる領域において、切っても切れないものがデザインであり、
人を中心にして社会をどう考えるか、どうデザインしていくかという時代がようやく到来したのでは」(齋藤氏)
変化の激しい世の中を生き抜くためには、デザインの力を使って別の分野を繋いでいき、1つの社会を作っていかなければならないのではないだろうか。