入管施設でのナイジェリア人被収容者の餓死は、本当に「仕方がない」ことだったのか!?

ハンストの対応について、所長はどう判断したのか

弁護士による記者会見

弁護士による記者会見

 10月10日、ナイジェリア人の餓死の件や、仮放免を出してもわずか2週間で再収容してしまうことについて、ジュネーブの国連懇意的拘禁ワーキンググループへ通報することを、弁護士による有志が司法記者クラブの記者会見で発表した。  鈴木雅子弁護士は、会見でこう訴えた。 「2週間での再収容は必要があるのか、正当性があるのか。帰れない人たちも相当数いて、難民申請者も含まれている。入管は『申請の乱用』というが、日本は難民条約を誤った解釈で運用している、他の先進国に比べて(認定率が)突出して低いことは国連も苦言を呈している。  もっと被収容者を人間扱いするべき。入管の死亡事故はこれまで後を絶たない。収容は刑事罰を受けた人が多いというのは説明になっていない。刑事罰はもう受けているし、これから悪いことをするかもしれないという考えはおかしい。  サニーさんは日本人の子供があることで日本に残ろうとした。子供の権利条約も守られるべきなのに、日本では非常に軽い。第三者機関による調査もなされなかった。ハンストの対応、所長がどう判断したのかすら、一切検証がなされていない」  通報者の1人、イラン人サファリさんの弁護士である駒井知会弁護士は、彼のことをこう弁護した。 「サファリさんは刑事罰を受けたこともない難民申請者です。ある日、理由も告げられず収容されました。3年の収容ののち仮放免されましたが、わずか2週間で再収容されました。しかし捕まることが分かっていても、入管の定めた出頭日にちゃんと来ました。逃亡の恐れがないことは明らかのはず」

法務省は、さらなる仮放免の厳格化を謳っている

サファリさん

解放されても、わずか2週間で入管に出頭を余儀なくされたサファリさん

 同じく会見に参加した浦城知子弁護士は、「『予防拘禁』は絶対にしてはならないし、入管に権限はない。サニーさんの死に対して、『餓死』とだけ発表したら批判を受けると思って、犯罪者であることを法務省は理由にしている」と語った。  弁護士たちの通報が国連により認められれば、調査にかかる権限として、入管に「意見」を示すことができる。その結果、違法が認められるケースもある。国連としては主に以下の4点を求めている。 ①収容は最終的な手段であること。 ②最低限の期間であること。 ③裁判所による判断があること。 ④合理性、必要性、比例性(正当な目的に比例している)が認められること。  これに対して、法務省はさらなる仮放免の厳格化を謳っている。仮放免に必要な保証金の値上げ、ボランティア先の住所を使えなくするなど、被収容者を徹底的に締め上げようとしている。  どんな事情があろうが人の死は重い。法務省も入管も、1人の尊い命が失われたことを深く受け止めなければ、犠牲者は増えていくかもしれない。「問題ない」とだけで終わらせないでほしい。 <文・写真/織田朝日>
おだあさひ●Twitter ID:@freeasahi。外国人支援団体「編む夢企画」主宰。著書に『となりの難民――日本が認めない99%の人たちのSOS』(旬報社)など。入管収容所の実態をマンガで描いた『ある日の入管』(扶桑社)を2月28日に上梓。
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