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タイはSNSの利用率が高い。端末もキャリアとの契約が不要なSIMカードのないタブレットなどもあり、価格帯もピンキリで揃っているので、極端な例ではホームレスでさえSNSを使っていることもある。
タイに限らないが、東南アジアで人気の端末メーカーは韓国のサムスンだ。東南アジア人はいわゆる自撮りが好きで、サムスンや中国メーカーの中でも特にカメラ性能が高い機種に人気が集まっているように見受けられる。ただ、タイ人の正直なところを見ると、iPhoneを本当は買いたいと思っている人が少なくない。
東南アジアは中国に似ていて、所持品などでステータスを見せびらかしたいという気質(というか、見栄)が少なからずある。iPhoneは高価なので手が出ないが、買えるなら買いたいという中流層が案外多いのだ。
韓国や中国メーカーなら数千円から購入することができるが、iPhoneともなれば数万円はくだらない。そこは日本と変わらないのだが、1万円を下回っている機種などと比較すると手が出しにくい。タイ人は特に総合的にコストパフォーマンスなどを考えることはあまりなく、目の前に提示された価格(数字)で単純に高低を判断する傾向にあるからだ。そもそも平均所得がタイは3万バーツ(約10万円)に届いていない。ローンを組むとしても、買うにはそれなりの決断がいる。
商業施設内にある個人商店の携帯ショップ。修理や買取も同時に行っている
タイは中古携帯市場も活発だ。そもそもSIMフリーなので、買い替え時などに端末を廃棄するのではなく、SIMカードを抜き、データを消去、あるいは初期化して中古販売店に買い取ってもらえる。タイでは携帯電話はステータスシンボルのひとつでもあるので、人気機種は比較的高値で売れるというメリットもある。
スマホ全盛時代に入った今、やはり値が下がらないのが、Androidであればサムスンであり、もうひとつはiPhoneになる。正規販売店、並行輸入のショップ、キャリアのSIMカードとの抱き合わせ販売などでタイ人はスマホを購入している。
大手キャリアの「トゥルー・ムーブ」でも正式発売に向けて予約受付を10/11に開始(予定)する
先月、iPhoneの最新機種である「iPhone11」が登場したので、タイの価格を見てみた。
タイのiPhone11の価格は下記のようになっていた。ただし、タイ国内の正式発売は10月18日のため、取材時の価格設定はあくまでも一般に報道された価格設定になっている。
・iPhone11(レート3.5円の場合)
64GB:24,900THB≒87,150円(74,800円)
128GB:26,900THB≒94,150円(79,800円)
256GB:30,900THB≒108,150円(90,800円)
・iPhone11 Pro(レート3.5円の場合)
64GB:35,900THB≒125,650円(106,800円)
256GB:41,900THB≒146,650円(122,800円)
512GB:48,900THB≒171,150円(144,800円)
カッコ内は日本のアップルストアで提示されている取材時点の価格(税別)だ。タイ・バーツの価格は上記のようになっているのだが、問題は為替レートになる。単純に日本人在住者が計算する1バーツ≒3.5円で計算すると、日本の消費税10%を考慮してもタイの方が高い。2019年は3.4~3.5円で月平均が推移しているので、実質的にもこの水準になるだろう。
ここ2年くらいでいえば、2017年4月が3.2円ジャストと最も有利なレートだった。このレートではどうだろうか。
・iPhone11(レート3.2円の場合)
64GB:79,680円
128GB:86,080円
256GB:98,880円
・iPhone11 Pro(レート3.2円の場合)
64GB:114,880円
256GB:134,080円
512GB:156,480円
3.2円のときならタイで買った方がわずかだが安いということになる。1バーツ≒3.2円とは、1万円札を両替した際に3,125バーツ以上になるときを指す。バンコクなら闇両替所と呼ばれる政府公認両替所がいくつもある。そこで両替をすれば、タイミングによってはそのレートをクリアすることは難しくないだろう。
並行輸入のショップなら場合によっては正規店よりも安い場合もあるだろう。中古が市場に流入するのも日本よりは早いので、タイの中古市場も今後は注目かもしれない。
わざわざ日本から旅費を払ってiPhoneを買いにタイに来るのは無意味だが、たまたま旅行でタイに来て、ということであれば観光のついでに買って得することができるのではないか……と思ったがそんなに甘くもなかった。