日本のお笑い芸人による「差別ネタ」炎上続く。外国人はどう見たか?

diversity image

shutterstock

 日本のお笑いグループが人種差別的な発言で次々と炎上している。人種問題を皮肉るジョーク、タブーに挑んでいるようで単に無知な差別……。ハッキリと線引きできないケースもあるが、今回の場合は間違いなく後者だろう。

海外では即解雇のケースも

 差別的な発言のため、敢えて引用は控えるが、ワタナベエンターテインメント所属のAマッソがイベントで披露したネタが、大坂なおみ選手の肌の色を揶揄したネタがSNSで批判されたことをきっかけに炎上。24日には所属事務所のワタナベエンターテインメントが「配慮に欠く発言を行った」と謝罪をしている。  続いて、Aマッソの炎上がきっかけとなって、吉本興業所属の「金属バット」のネタにも批判の目が集まった。こちらは、「人種差別」そのものをネタにしつつオチに黒人差別的なフレーズを持ってくるというものだった。  社会的立場のある人間が公の場で人種差別を行えば、炎上するのは当たり前だ。日本ではひとしきり謝罪をして、あとは有耶無耶になることが多いが、海外ではあっという間に解雇されるケースも少なくない。先日もアメリカでは人種差別的な言葉を叫んだデザイナーの女性が身元を特定され、解雇されている。

「差別と言うほうが差別」という屁理屈

 今回の炎上については、ネット上などで「人種問題に触れただけで、差別だと言うほうが差別だ」と擁護する声もあがっている。たしかに特定のテーマや人々だけがタブー視、忖度され、触れることができないというのは不健全だ。  しかし、先に紹介した炎上したネタを見てもらえばわかるとおり、これらは何か問題提議をしているわけでもなければ、社会の構造などを表しているわけでもない。単に人種や肌の色を揶揄しているだけである。これを「差別と言うほうが差別」と屁理屈で擁護するのは、無理があるだろう。というか、ヘイトが生まれる環境を押し進めることにしかならない。  実際、海外には人種、性、宗教などをテーマにしたスタンダップコメディや映画は山ほどあるが、より際どい内容を扱っても、こういった形で炎上することはあまりない。それは、たとえばマイノリティの立場にある人が、自分たちのコミュニティについて触れたり、異なる文化と比較しているからだ。  ネタをやっている当人たちも、観客も、圧倒的マジョリティの側にいながら、マイノリティの見た目に関することなどを直接的に“いじれば”、海外でも炎上することは間違いない。また、その余波も、謝罪コメントを出して済むようなものではないだろう。
次のページ
在日外国人からは辛辣な意見が
1
2
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会