[暗号通貨]の本命はビットコインではなくリップル

暗号通貨は終わった――’14年にマウントゴックスが破綻した際、多くの人がこう指摘した。が、どっこい、暗号通貨に付随するサービスは着々と増加。’15年には金融機関の参入も本格化するのだ! ⇒【前編】

大手銀行での採用が上昇へのエンジンに

 ファンダメンタルズ面もビットコイン上昇をサポートしそうだ。 「’14年はIT企業が決済手段として暗号通貨を採用する例が増えましたが、’15年は金融機関の参入が増えるでしょう」(金融ジャーナリストの高城泰氏)  実際、金融機関は動いている。 「当社は世界で初めての“暗号通貨専門銀行”を共同設立することで、ドイツの銀行と合意しました」と話すのは、世界3大ビットコイン取引所の1つであり、マウントゴックスの再建支援にも乗り出している米Krakenの日本市場責任者・宮口礼子氏だ。 「オランダのラボバンクは国境をまたいだ支店間送金などに、グーグルが出資して注目を集めた『リップル』という暗号通貨を利用しようとしてます。ここはゴールドマン・サックスにも匹敵する資産規模の超大手行です」(リップルエクスチェンジ東京の浅川嘉人氏)  このリップルはビットコインに次ぐ人気を博している暗号通貨だ。 「ビットコインと似た仕組みの暗号通貨ですが、送金や決済により特化しているのが特徴。ペイパル創業者やビットコイン開発者が携わっています。’14年後半、ビットコインがジリ下げするなか、リップルは6倍以上に値上がり。現在は1リップル=3円前後ですが、’15年は10円程度まで上昇すると予想されています」(高城氏)  このほかにも、意外な伏兵の登場が話題を呼んでいる。 「暗号通貨をけん引しているのはもちろんビットコインですが、リップルと同じ開発者が作った『ステラ』も非常に楽しみな通貨。業界では今後の動向に大きな注目が集まっています」(宮口氏)  マウントゴックスの破綻から間もなく1年。暗号通貨を取り巻く環境は激変した。日本でも簡単にかつ安全にビットコインやリップルを取引できる環境が整ってきたのだ。ビットコインが100倍にまで値上がりした’13年の狂乱相場、’14年のマウントゴックス破綻を経て……’15年は暗号通貨バブルが再燃すること間違いなし!?

’14年[暗号通貨]10大ニュース!

<2/28 Mt.GOXが経営破綻!!!> 一時、ビットコイン取引所として最大の取引高を誇ったマウントゴックスがハッキングにより大量のコインを消失して破綻。2月28日に民事再生手続きを申請した <Appleがウォレットアプリ容認> アップルは、ビットコインを管理・送金するためのツールであるウォレットアプリを排除していたが、6月に方針転換。ウォレットの元祖「Blockchain」もApp Storeで配信 <10/30 Krakenが日本向けサービス開始> 米ペイワード社が運営する世界3大取引所の一つ「Kraken」が日本円での取引を開始。6月にはシンガポールに本社を置き、レバレッジ取引も可能なQuoineがサービスイン <「ビットコインは通貨でない」初の政府見解> 3月7日の閣議決定で、日本政府が初めてビットコインに関する公式見解を決定。金商法に基づく有価証券にもあたらず、貴金属などと同じ「商品(モノ)」と定めた <Microsoftがビットコイン決済受け入れ> 12月からマイクロソフトが運営するWindows Storeなどでビットコイン決済が可能に。Windows PhoneやXboxのアブリ、ゲームなどがビットコインで買えるように <楽天がビットコイン決済企業に出資> 10月にビットコインの決済システムを手掛ける米Bitnet社に出資。グループの楽天スーパー・ロジスティクス(米)は一足早く8月から米Bitpayの決済サービスを導入 <独Fidor銀行が「暗号通貨銀行」設立へ> 10月、米KrakenがドイツのFidor 銀行と提携して「暗号通貨専門銀行」を設立することを発表。直前の’14年8月にはFidorが銀行としては初めて海外送金にリップルを活用 <Rippleの価格が3倍に急騰> “ポスト・ビットコイン”の最右翼「リップル(XRP)」が11月に入って、1XRP=0.01ドルの水準から0.03ドルまで急騰。相次ぐリップル関連ニュースを受けての上昇 <Ripple開発者が新通貨「Stellar」を発表> マウントゴックスの創業者で、リップルの開発者でもジェド・マケーレブが7月に新「ステラ」をリリース。10月以降高騰し、時価総額でベスト5に入る暗号通貨に急成長 <初の暗号通貨業界団体「JADA」発足> 10月23日に日本初の暗号通貨業界団体「日本価値記録事業者協会(JADA)」が発足。ビットコインをはじめとした“価値記録取引”の環境整備を目指して始動した 【宮口礼子氏】 Kraken日本市場責任者。世界3大ビットコイン取引所の1つとして知られる米クラケンの日本進出を担う。同社はマウントゴックスの再建を支援 【浅川嘉人氏】 Ripple Exchange Tokyo代表。大手証券で為替ディーラーとして活躍する一方で、米リップルラボ公認の取引所(略称Ripplex)を運営。リップルの勉強会も主催 取材・文/暗号通貨で稼ぎ隊 図版/ミューズグラフィック
ハッシュタグ
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会