入社に要求されるスキルは年々高くなっているが、タイの会社勤めは日本よりも過ごしやすい環境ではある
タイは和食店、日本人向けサービスも多く、海外移住初心者に向いている国と言える。そういったこともあって、政治的に不安定な国ではあるものの、毎年日本人は増加傾向にある。
日本のメディアでもマレーシアと並んでタイを移住候補地に推す傾向が見られる。しかし、的外れな勧め方があるのも事実だ。そこを見誤ると、せっかくの海外移住が失敗に終わってしまう。実際に、タイが好きで仕方がなくて移住してきたものの、3ヶ月も経たずに帰国してしまう人も少なくない。
特に初心者がタイの首都バンコクに移住を考えた場合に気をつけておきたいことを見ていこう。
バンコク郊外はのどかで家賃も安いが、その分交通費がかさむ
まず、多くのメディアで紹介される「タイは物価が安い」は予算を検討するにあたり要注意事項だ。
生活様式にもよるけれども、今のバンコクは日本よりも生活費がかかると思うべきだ。確かに家賃は安い。プール付き、守衛常駐の賃貸マンションも4万円前後からある。しかし、このレベルの金額だとバンコクの中心地ではないので、出勤する際やちゃんとした店で食事をする際には交通費が別途かかってくる。日本よりタクシーは安いとはいえ、積み重なればそれなりの金額になるだろう。
食費も今はかなり高くなった。といっても、もし屋台なら日本よりもずっと低く抑えることはできる。しかし、一般的な日本人には不可能だと思うべきだ。屋台はタイ料理が中心になる。いくらタイ料理好きでも、毎日は案外厳しい。タイ料理は味が濃く、和食のようにバランスが取りにくい。タイ人のように生まれてからずっとタイ料理ならともかく、和食に慣れた日本人の身体がタイ料理に合わせられない。
無理にでも屋台を貫こうにも人とのつき合いは避けられない。バンコクは国際都市なので、世界各国の本格料理も楽しめる。そのため、例え日本人だけでなく、タイ人との交際でも和食や欧米料理などのそれなりに高いレストランに行くことになる。
昨今は日本のラーメン店でも1杯が1000円近くするし、居酒屋はいわゆる割り勘にしてもひとり5000円以上はかかってくる。日本でもタイ料理が高いように、タイで和食は高級料理の扱いになり、日本よりも高い。
その安い屋台にしても、2000年初頭はひと皿が25バーツ程度だったものが、現在は倍の50バーツ近くになりつつある。全体的にバンコクは物価が上がっているので、決して低コストで移住できる場所ではなくなってきているのだ。