駄目なリーダーほど相手の考えを先走って説明する。3ステップで上手に相手の考えを引き出す方法

 筆者はトップダウンのマネジメントだけでなく、ボトムアップのリーダーシップ実践力を高めるための演習を、さまざまな企業の経営者や管理職、若手リーダーと実施している。それが5つの質問による巻き込み型リーダーシップだ。 【参考記事】⇒使えない上司ほど質問ベタ。「巻き込み型リーダーシップ」が発揮できる5つの質問

相手の考えがわからないのは致命的 

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 ボトムアップのリーダーシップを発揮する際、よく受ける質問に「メンバーの考えがわからない」「だから、ボトムアップのリーダーシップを発揮したくでも、発揮できない」というものがある。  メンバーの考えがどうであっても、トップダウンのマネジメントをしようとして、メンバーの考えをわかろうとしていること自体が、ボトムアップのリーダーシップに取り組み始めている証左だ。  「メンバーの考えがわかない」という人の話法を観察させていただくと、共通の特徴があることがわかった。「Aという考えなのではないか?」「Bというように思っているのだろう?」「Cと考えているとすれば、こうしてほしい」というように、相手の考えていることを先走って、説明してしまっているのだ。  相手が、「そうではなくて、こうだ」というように言ってくれればよいが、たいていの場合、勢いに押されて口ごもってしまったり、「そういうわけではありませんが……」と生返事をしてしまったりする。  リーダーが畳みかければ畳みかけるほど、メンバーは口を閉ざしてしまって、ますます、メンバーが何を考えているかわからなくなってしまうという悪循環に陥る。  質問によるボトムアップの巻き込み型のリーダーシップを実践しているはずにもかかわらず、意識が変わっておらず、自分で何でも伝えてしまうトップダウンのままの行動になってしまっているのだ。こういう状況に直面すると、「だから、意識を変えることは難しい」「意識が行動を変えるので、行動はなかなか変わらない」という見解に接する。しかし、私は決してそうは思わない。

「意識が行動を変える」には時間がかかる

 「意識が行動を変える」という考え方がある。しかし、意識はなかなか変わらない。意識が変わらないから行動も変わらない。行動を変えるまでの間に、数か月、数年といった、途方もない時間がかかってしまう。変革には時間がかかると諦念さえ生まれている。  そこで私は、「行動が意識を変える」というアプローチを用いている。その行動もできるだけ分解して、コアな行動を見極めて、そのコアな行動を身につけたり、行動発揮の仕方を高めたりする。まさにこの連載のタイトルになっている分解スキル反復演習を行うのだ。  簡単な動作を反復演習するので、とても身につけやすい。スキル種類にもよるが1セット3分を5回反復して、15分で相当程度スキルが身につく。いくつかのパーツスキルを身につけていくと、各々パーツなので、組み合わせや連動がしやすい。実際のビジネスの状況や相手の特性に合わせて、調整が効きやすくなる。  このようにして、実際のビジネスシーンに役立つ行動のあり方が身についていくと、意識が変わってくるのだ。それも数か月、数年という単位ではなくて、繰り返しスキルを発揮していければ、数日の間に意識が変わってくることに気づく。
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質問することで相手の意見を聞くことに慣れる
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