「これはブログには書いていなかったのですが、私の知人の日本人でまさに12か月以上の長期労働ビザを持ってベトナムで働いている人がいます。今回の一件で彼が銀行に問い合わせたところ、定期預金の口座こそ作れるものの、ネットバンクでの優遇金利が適用されなくなると言われたそうです。優遇金利は窓口で預けた場合の金利プラス1%ぐらいなので、外国人は結果的にベトナム人より1%ほど低い金利が適用されるということです。つまり、そこの銀行で利率が8%だとしたら、彼は7%しかもらえないということですね。つまり、ベトナム政府そのものが外国人による定期預金のお金をもういらない、と宣言したのと同じということですね」
なぜ、ベトナム政府はここまで態度を急変させたのか?
「これは私の推測ですが、定期預金のお金を株にシフトさせたい意向のようですね。つい最近、こちらの新聞でもそういう報道がありました。ベトナムは株価を高くしたい、という政策をはっきりと打ち出している国ですからね。定期預金はダメになった外国人も、証券会社では問題なく取引できますから」
筆者はデポジット五万ドン(約250円)でハノイにある銀行で口座を作った。まあ250円だし、既に連載のネタとなっているので全然いいのだが、今後あの口座はどうなるのか?
ポートフォリオを変えるだけ。ベトナムでの基本生活は変わらない
「別に今回のことでタカさんの口座が急に閉鎖されることはありません。預け入れも可能だと思います。ただ、定期預金にすることはできず、したがって利子も受け取ることはできない、ということでしょうね」
ということで、宮内の定期預金は来年三月から順々に満期となり、行き場を失うことになる。今後どうするつもりなのか。
「タカさんは“僕の人生設計をも大きく変えうる”とか大げさに書いていて、心配していただいてありがたい限りですが、投資をしていればときに投資先を変えてポートフォリオを組み替えるというのはよくあることなのですよ。ですから御心配には及びません。僕自身は今後も年に三か月程度は日本で働いて、それを元手に再投資してベトナムで暮らすという基本姿勢は変わりません。東京の夏は、ホーチミンより暑いですしね。ベトナムを引き払うことも考えましたが、私もホーチミンで何年か暮らして、人間関係もできあがっていますから、それを全てチャラにしてまたどこか別の国に行くというのは考えていません。」
では今後宮内は来年宙に浮く資産をどこに再投資するつもりなのか。別の外国の銀行、株、不動産などいろいろなパターンが考えられるわけだが、その辺りについて次回は宮内と筆者で検討した可能性と評価を伝えていくこととしたい。
<取材・文/タカ大丸>
ジャーナリスト、TVリポーター、英語同時通訳・スペイン語通訳者。ニューヨーク州立大学ポツダム校とテル・アヴィヴ大学で政治学を専攻。’10年10月のチリ鉱山落盤事故作業員救出の際にはスペイン語通訳として民放各局から依頼が殺到。2015年3月発売の『
ジョコビッチの生まれ変わる食事』は15万部を突破し、現在新装版が発売。最新の訳書に「
ナダル・ノート すべては訓練次第」(東邦出版)。10月に初の単著『
貧困脱出マニュアル』(飛鳥新社)を上梓。 雑誌「月刊VOICE」「プレジデント」などで執筆するほか、テレビ朝日「たけしのTVタックル」「たけしの超常現象Xファイル」TBS「水曜日のダウンタウン」などテレビ出演も多数。