第4次安倍再改造内閣、閣僚の過去発言を掘ってみた Part1

総務大臣 高市早苗氏

(1)2013年5月12日 「(『植民地支配と侵略』への反省とおわびを表明した村山談話について)侵略という文言を入れているのは私自身しっくりきていない。自存自衛のために決然と立って戦うというのが当時の解釈だった」  福井市内で記者団に対し上記発言をした。この発言の2日前に、菅官房長官が記者会見で「歴代内閣と同じように村山談話全体を引き継ぐ」と安倍内閣の立場を説明したばかりだった。この発言には自民党内からも多くの批判が出た。  古賀誠・元幹事長「自民党内で村山談話の見直しを主張している人は、大きな考えがあって発言しているのではないと思う。高市早苗政調会長なんて、本当に分かって話をしているのだろうか」 その後の高市氏のコメント「(菅官房長官から安倍内閣の考えを説明され自重を促されたが)個人的な見解は変わらない」 ひもっちの一言「しっくりこないのは、村山談話じゃなくて高市氏の歴史観なのでは?」 出典:歴史発言、与党に亀裂 高市氏「村山談話しっくりきていない」 朝日新聞2013年5月14日 (2)2013年6月17日 「(原発再稼働にむけて)原子力発電所は確かに廃炉まで考えると莫大なお金がかかる。稼働している間のコストは比較的安い。これまで事故は起きたが、東日本大震災で止まってしまった悲惨な爆発事故を起こした福島原発を含めて、それによって死亡者が出ている状況にもない」  自民党兵庫県連での講演において、原発再稼働を目指す自民党の方針を強調する中での発言。「直接の原因」をどう定義するかにもよるが、東京新聞が、原発事故での避難の影響で病気が悪化するなどして死亡した人を「原発関連死」と定義づけ調査したところ、約5年間で、福島県内だけで1368人になっていた。 その後のコメント「被曝が直接の原因で亡くなった方はいないが、安全基準は最高レベルを保たなければいけないと伝えたかった」 ひもっちの一言「クズってよく言われる僕でさえ、ドン引きだわ。原発再稼働の前に、倫理観を高めるべきでは?」 出典:「原発事故による死亡者は出てない」自民・高市政調会長 朝日新聞2013年6月17日 (3)2016年2月9日 「(憲法9条改正に反対する内容を相当の時間にわたって放送した場合、電波停止になる可能性があるか?という質問へ対し)1回の番組で電波停止はありえない。私が総務相のときに電波を停止することはないが、将来にわたって罰則を一切適用しないとまで担保できない」  高市総務相が答弁で、放送局が政治的公平性を欠く放送を繰り返したと判断した場合、放送法4条を理由に電波法76条に基づき、電波停止を命じる可能性に言及した。  放送法は戦前、政府が報道に干渉したことへの反省を込め、政府の干渉の排除、放送の自由独立の確保の意味合いをこめ作られた。確かに、放送法4条は放送事業者に「政治的に公平であること」を要求しているが、一般的に放送局が守るべき「倫理規範」だとされ、権力が放送局を取り締まる根拠にすべきではないと考えられている。 ひもっちの一言「電波停止発言でメディアを萎縮させた、あの高市砲が帰ってくる。これは本気で憲法改正に乗り出す気だな。気にくわない報道があれば、高市砲をお見舞いして黙らせればいいし」 出典:高市総務相発言「メディアへの圧力」野党から反発相次ぐ 毎日新聞2016年2月9日

文部科学大臣 萩生田光一氏

(1)2016年11月26日 「強行採決なんてのは、世の中にあり得ない。審議が終わって、採決を強行的に邪魔をする人たちがいるだけでありまして。じゃあ、あの(野党の)人たちが本当に声を枯らせて質問書を破りながら腹の底から怒っているかといったら、『田舎のプロレス』と言ったらプロレスの人に怒られるが、ここでロープに投げたら返ってきて、空手チョップで一回倒れて、みたいなやりとりの中でやっている。ある意味、茶番だと思いまして、もうそろそろこういう政治のあり方は変えるべきだと思っている」 釈明コメント「発言には不適切な部分もあり、結果として、そのように受け取られたとしたら不徳の致すところだ」 ひもっちの一言「民主主義にも、プロレスにも、田舎にも、全方位に対して喧嘩を売る。そうそれこそが萩生田スタイル」 出典:「田舎のプロレス」発言、萩生田光一・官房副長官が謝罪 Twitterでは「揶揄で使っていい言葉じゃない」ハフィントンポスト2016年11月26日 (2)2018年5月27日 「『萩生田さん、子育てを女性に押しつけていませんか。男の人だって育児をやらなきゃだめですよ』とよく言われるんです。その通りだと思います。だけど、冷静にみなさん考えてみてください。0~3歳の赤ちゃんに、パパとママどっちが好きかと聞けば、はっきりとした統計はありませんけど、どう考えたってママがいいに決まっているんですよ。0歳から『パパ』っていうのはちょっと変わっていると思います。ですから逆に言えば、お母さんたちに負担がいくことを前提とした社会制度で底上げをしていかないと、言葉の上で『男女平等参画社会だ』『男も育児だ』とか言っても、子どもにとっては迷惑な話かもしれない。子どもがお母さんと一緒にいれるような環境が、これからはやっぱり必要なんじゃないかと私は思います。」  宮崎市内で行われた会合において、「待機児童ゼロ」をめざす政府方針を紹介したうえで上記発言をした。 ひもっちの一言「あなたみたいな偏見に満ちた人間が、政治家をしている方が迷惑ですよ」 出典:萩生田氏「赤ちゃんはママがいいに決まっている」朝日新聞2018年5月27日 (3)2019年4月18日 「新しい時代になったら、自民党は少しワイルドな憲法審査を進めていかないといけない」  インターネット番組で、衆議院の憲法審査会が、野党と調整がつかず、開催の見通しが立たないことについて萩生田氏は「やるしかないところまで来ている」と断言し、上記発言をした。 釈明コメント「野党の皆さんに不快感を与え、結果として(18日に)協議が成立しなかった。憲法審査を前に進めていただきたいという私の本意とは違う」 ひもっちの一言「ワイルド、ハギちゃんだぜ〜。NHKの『新内閣が取り組むべきこと』という世論調査で、憲法改正はたった5%だったけど、自分たちで『国民が求めている』と煽って、憲法改正しちゃうぜ〜自作自演だぜ~ワイルドだろ~ハギちゃんだぜ~」 出典:「ワイルドな憲法審査を進めていかないと」萩生田氏 NHK政治マガジン2019年4月18日 <文/日下部智海 a.k.aひもっち>
1997年生まれ。明治大学法学部卒業。フリージャーナリスト。特技:ヒモ。シリア難民やパレスチナ難民、トルコ人など世界中でヒモとして生活。社会問題から政治までヒモ目線でお届け。Twitter:@cshbkt
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