混乱の中、ようやく成田空港と上野駅を結ぶ特急電車のスカイライナーが復活したというニュースが流れてきました。しかし、座席指定有料列車であるスカイライナーは一度に多くの乗客を運ぶことが出来ません。その上、インターネットでチケットを購入しようにも、帰宅困難者の一斉アクセスに耐えきれず、予約サービスのページがダウンしてしまいました。
なんとかチケットを予約し、列の先頭に4~5時間といった長時間並んでいた人の中には、乗車出来た人もいたようです。しかし余りの混雑で係員も列の制御と誘導が完全には出来ず、チケットを購入していたのに乗車出来なかった人もいたようです。
そのため、電車を待っている人は大勢いるのにスカイライナーの車内には空席が目立つという事態が発生しており、緊急事態に対応できない路線であることが露わになっていました。
スカイライナーが復活すると、駅の入り口に人が殺到したため、館内での移動規制がかかりました。
空になったコンビニの棚
旅行で疲労も溜まっていた私たち一行は仕方なく、空港内で一泊することを覚悟。空港のローソンの近くに場所を取り、夜を明かすことにしました。
この時の帰宅困難者は1万人を超えていたため、通路に座るのも一苦労です。フードコートなどの座れる場所は全て席が埋まっており、寝心地の良いマッサージ機は争奪戦になっていました。
食料や生活品を買おうにも、飲食店はどこも満席。コンビニは長蛇の列ができている上に、品切れも多発しており、食事も満足にとれない状況でした。
私たちの近くにあったローソンはレジに列が出来ているのはもちろん、客が店内に入りきらず、店の入り口に店員が付き、入場規制を行っていました。
それでも行列は拡大する一方で、店員達も手が回らなくなり、商品が尽きる前に店は閉店。店員に事情を尋ねた所、「空港のどこの店も人手が足りず店が回っていないから、地下にあるもう一つのローソンにここの店員を移動させてこの店は閉める」との事でした。
早めに閉店したローソン
深夜になると、空港の一部に館内放送が入り、水と食料と寝袋が配給されると伝えられました。当然、配給所は長蛇の列で1時間以上は待たされましたが、これで最低限の物資は配られました。しかし、館内放送がかからない場所や配給に気づいていない人も多く、完全に行き渡っているとは言いがたい状況だったと思います。
チェックインカウンターの荷物を載せるベルトコンベアをベッドにし睡眠をとる人たちも見られました。
結局、私たちは同行していた友人の一人の父親が夜中に車で迎えに来てくれたため、早朝には帰宅することが出来ました。
今回、多くの人が成田空港に取り残された原因は、台風という自然災害が発端ではありましたが、空港の交通機関や施設の緊急事態への対応力不足などのシステムが原因であった側面も見られました。
また、私たち以上に困っていたのは日本語の話せない外国人でした。日本人でさえ、複雑な交通システム、館内の混乱に対応できていなかったため、外国人はよりいっそう途方に暮れていました。私も一度「渋谷まで行きたいのに、どうすればいいのかわからなくて困っている。電車やバスはいつ動くんですか?」と聞かれました。
これから、東京オリンピックなどの国際的な行事を控えている日本にとって、成田空港がよりいっそう混雑や緊急事態に強い国際空港になれるかが課題であるでしょう。