認知症理解にスタバが一役。町田市が「認知症カフェ」の取り組みに成功した理由

当事者が集まるカフェへ、動き出した民間企業

 町田市がスターバックスとの協定を結んだきっかけは、スターバックスコーヒー町田金森店の男性店長との出会いだった。町田市には12箇所に高齢者支援センターを設置しており、スターバックス町田金森店の近くに、その1つがあった。

撮影:板垣聡旨

 初めての出会いは地域のイベント。高齢者支援センターは地域住民の身近な存在になることを目指しており、地域のお祭りに出店をするなどしている。一方、スターバックスコーヒージャパンは、CSR(企業が持つ社会的責任)の一環として、”コミュニティへの貢献”を上げており、各店舗が自主的に地域社会活動を行うことを促しているのだ。町田金森店の店長は、頻繁に地域イベントに顔を出していたとのこと。  地域イベントで知り合った高齢者支援センターとスターバックスコーヒー町田金森店。イベントの度に親交が深まり、「一緒に何かやってみよう!」と話が生まれたと江成さんは話す。 「町田市のDカフェのコンセプトは、特別な場所から日常の場所へ。認知症の方もスタバに来て、コーヒーを飲んで欲しいし、一般の方は認知症について身近なものとして捉えてほしい。『あ、認知症の話をしているね。あの人、認知症なんだ。全然普通の人と変わらないじゃん』と気づいてほしいんです」(同上)  認知症の人の中には「『自分が認知症だと人に言いたくない』と悩みを抱えてしまう方もいる」と江成さんは話す。認知症に対して寛容ではない社会が根付いているからだ。「自分が住む世界は、認知症とは無縁のもの」と多くの人が考えているのが現状。  スターバックスといった”オープンな場所”は、この現状打破に最適な場所である。Dカフェを運営するにあたって、一番重要なのは、”気軽に入れるかどうか”だからだ。  2017年にスターバックス コーヒー町田金森店と共同で動き始めてから、町田市にある民間書店も動き始めた。認知症当事者の方が書いた本を、人目に付きやすい場所に置くなどの取り組みだ。民間企業と町田市の”絆”は、スターバックスとのコラボにより、広がりつつあるのだ。

認知症の人と一緒に住みやすい地域をつくる ことを目指して

 このように民間のセクターが協力的になり、地域の福祉活動に強く貢献することは異例だ。一つの企業が入ると、波を打つように次々と協力者が現れてくる。  現在、町田市のDカフェは市内のスターバックスコーヒー全8店舗側で月一回ずつ開催されており、予約はいらない。飛び込み参加は大歓迎とのことだ。 「認知症の方が地域に溶け込める社会を作りたいですね。町田市はこれからも認知症に対する啓蒙活動を続けていきます。スターバックスでDカフェが開催されていたら、一度フラッと立ち寄ってみて下さい。誰でも大歓迎です」(同上)  高齢者が増えていく一方、比例して認知症患者数も右肩上がりになる。 行政が民間企業と二人三脚で地域福祉に取り組んでいく例は、いずれ来る超高齢化社会に求められる”在り方”かもしれない。 <取材・文・撮影/板垣聡旨>
学生時代から取材活動を行い、ライター歴は5年目に突入。新卒1年目でフリーランスのライターをしている24歳。ミレニアル世代の社会問題に興味を持ち、新興メディアからオールドメディアといった幅広い媒体に、記事の寄稿・取材協力を行っている。
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