妻を加害する男性の改善、支援の専門家ランディ・バンクロフト(アメリカ)は、
加害者のほうが、正常者よりも、何らかの精神疾患、障害等がみつかる割合は小さいという。バンクロフトは、社会化、すなわち文化的社会的規範を身に付ける過程で、男の子(男性)たちが加害者性を吸収していく旨を論じている。
バンクロフトの説明は、私を含めた多くの離婚弁護士の観察、経験と一致する。モラ文化は、国により地域により宗教により、その内容が異なるので、アメリカン・モラ夫と日本・モラ夫では、モラの言動類型・傾向に違いが出てくるが、モラ夫になっていく過程は、ほぼ同じなのではないか。
実際、日本の子どもたちは、幼少の頃から、女の子は家事のお手伝いをするが、男の子は手伝わないことが多い。
子どもの社会化は、2、3歳頃から始まる。子どもたちは、親の表面的な言葉だけでなく、親の行動や本音からも規範を学ぶ。その結果、親の背中を見、腹の中を理解して、就学前にモラ文化(男尊女卑、性別役割分担などモラ夫を許容、助長する文化的、社会的規範群)を吸収し、人格の基礎部分を形成する規範として内在化する。
これらの内在化したモラ文化・規範群が、その後の男性の日常的な行動を支配、指導し、男の子は、やがてモラ夫になる。
なぜこの連載は、モラ夫やモラ文化を糾弾するのか?
何度でも述べるが、モラ文化、モラ夫は、日本の結婚を不幸にし、その結果、生涯未婚率、少子高齢化が進行し、日本社会は衰退していく。私は、この現象に気づいた専門家の1人として、これを社会に伝える義務があると信じている。
そして、嬉しいことに、多くの読者の共感を得ていると思う。何通もの応援メッセージもいただいた。知り合いの女性(数名)からも、「夫が“モラバス”を読んで、少しずつ変わってきた、以前よりも横暴でなくなってきた、是非、モラバスを続けて欲しい」と励まされている。
あるフォロワーの方は、「『そんなことくらい』『夫婦とはそういうもの』など、モラハラがどこの家庭にでもあるものとして扱われてきた。被害妻の苦しみやモラハラの実態を世に発信してくれることは、とても心強い」と応援のメッセージをくれた。
また、モラバスの記事に救われた、夫から「お前はダメだ」と言われ続けていたが、必ずしも自分が悪いわけではないことがわかった、離婚の決意がついたなど、多くの被害妻から感謝の言葉を貰っている。