名門「モータウン」設立60周年。BJ・ザ・シカゴ・キッドが語るソウルの今

モータウンとの出会いと音楽シーンに与えた影響

 DJ JIN有するライムスターは、日本のヒップホップ黎明期からシーンを牽引してきたグループ。DJ JINは当時を振り返り、モータウンとの出会いについて語った。 「ヒップホップミュージックが主流になっているのも、かつてのソウルやR&Bのメロディがあってこそ。元ネタとなるR&Bをサンプリングして、ヒップホップの新しい曲が生まれている。私自身、ヒップホップの元ネタを探していくうちに、モータウンを知った」(DJ JIN)  ヒップホップの曲作りをするために、サンプリングネタとしてよく使われている70年代のモータウンサウンドから聴き始めたというDJ JIN。一番初めに買ったのは、スティーヴィー・ワンダー黄金3部作だという。「Talking Book(トーキングブック)」や「Innervisions(インナービジョンズ)」、「Fulfillingness’ First Finale(ファーストフィナーレ)」といった不朽の名作として名高いスティーヴィー・ワンダーのアルバムだ。  キッド、DJ JIN双方とも、モータウンが音楽シーンに与えた影響として、スティーヴィー・ワンダーの名を上げる。名実ともにソウルミュージックの祖として、まさに生きる伝説と称するにふさわしいという。

アメリカではモータウンサウンドが生活の一部になっている

 モータウンの功績は、創設された60年代からソウルミュージック、R&Bを中心に70年代、80年代、90年代…そして、今に至るまで素晴らしい音楽を出し続けていること。 「アメリカでは家族と関わるときに、モータウンの音楽は欠かせない。また、ホームパーティやバーベキューなど皆が集まる場合には、モータウンの音楽をかけて楽しい時間を過ごすのがスタンダードになっており、モータウンサウンドが生活の一部になっている」(キッド)  モータウンからリリースされた数多くの楽曲は、有名どころから知られてない名曲までたくさんある。長い歴史の中で、これはおすすめというイチオシの1曲として、DJ JINはカーティス・メイフィールドの「Give Me Your Love」を選んだ。  80年代ニューヨークのアンダーグラウンドDJがプレイして、今もなおクラブでかかる名曲だという。  一方で、キッドが好きな名曲はジャクソン5の「Got To Be There」。マイケル・ジャクソンのソロデビュー作として知られる曲で、スティーヴィー・ワンダーのトーンを練習してレコーディングしたと思えるくらい、マイケル・ジャクソン初期のリッチな歌声を堪能できるとのこと。  モータウン独特のソウルミュージックは、今も世代を越えて愛され続けている音楽であり、今後も音楽シーンを語る上では外せない存在なのではないだろうか。
1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている。
1
2
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会