横浜カジノ誘致の根拠データに「作為」発覚。「横浜市の観光消費額は少ない」という欺き

林市長の答弁を信号無視話法分析

 これらの「資料における数字の作為」の仕組みを理解した上で、9月6日の本会議 一般質問における萩原市議と林市長の質疑での観光消費額に関する部分を抜粋して、信号無視話法分析していきたい。具体的には、信号機のように3色(はOK、は注意、はダメ)で直感的に視覚化する。 信号無視話法 配色ルール (*これ以降の分析結果は、観光消費額に関する質疑の抜粋。質問者は発言を要約して記載。答弁者は発言のまま記載) 信号無視話法 分析結果萩原市議(発言の要約):カジノ誘致について、市長が説明した会見資料2ページ目の宿泊客と日帰り客の観光消費額について質問します。横浜市の観光消費額は「日帰り、宿泊客のどちらも少ない」と太字かつ赤字で強調されてます。日本と東京都のデータは観光庁によるアンケート郵送、横浜市のデータは横浜市による山下公園などでの聞き取り調査に基づいており、2つの調査は内容も全く違う。横浜市のデータは旅行中に使用した金額のみだが、観光中のデータはそれに加えて、旅行前後に購入した金額、自分以外の人に買ってもらった金額なども合算されている。しかも、横浜市は旅行価格が安いオフシーズンのみに調査しているが、観光調査はハイシーズンを含めた通年調査。これでは観光庁の数字が大きくなって当然。こんな杜撰な検証資料で、「横浜市の観光消費金額が少ないからIRが必要だ」と市長が説明するのは市民への欺き。こんな作為的なデータはIR誘致の理由にならないと思うが、市長の見解は?  林市長(発言のまま):IRについてご質問を頂きました。算出方法が違う観光客に関するデータをもとにしているというご意見でございます。国が実施している全国調査は無作為抽出した国民を対象にアンケート調査したものでございます。一方、横浜市の調査は、あー、先生がおっしゃって頂きましたけども、主要な観光地での、アン、アンケート調査によるものでございます。(黄信号)  ま、本市職員の調査方法は異なって、異なっておりますが、目的や調査項目は類似しておりまして、いずれも信頼性があると考えておりますが、(赤信号)  まあ、先生の非常に細かいご意見ですね、それは大変、あの、拝聴させて頂きましたので、これからもう少し、えー、調査を、あの、深くやっていきたいと思います。はい。(青信号)  冒頭の1段落目は、萩原市議の質問内容をただ繰り返しているため、黄信号とした。  2段落目は下記のように論点をすり替えており、赤信号【質問】2つの調査の独立した信頼性【回答】2つの調査を1つの表にまとめた場合の信頼性  萩原市議が問題にしているのは算出方法も調査方法も異なる2つの調査を、あたかも同じ条件で調査した結果かのように1つの表にまとめていることだ。しかし、林市長は2つの調査を個々に見た場合は信頼性はあると論点をすり替えて回答している。  3段落目はデータ捏造に対する見解を答えているので青信号としたが、「これから調査を深くやる」という具体性に乏しい内容であった。また、データ捏造を市長は実質的に認めたとも受け取れる。 ところで、データ捏造というと、今年初めに発覚した厚生労働省の統計不正問題がやはり思い出される。専門家でも解明に時間を要するほど巧妙だった統計不正と比べて、今回の横浜市による観光消費額のデータ捏造は、かなり杜撰で慌てて行われたような印象を受ける。そのため、筆者が公開情報を辿っただけでも捏造の全容を把握できた。ここからの一文は想像になるが、これは横浜市が急にIR誘致を進めなければならない状況に追い込まれたからではないのか。ちなみに、林市長がIR誘致の方針を「白紙」(2019/7/24 定例記者会見)から「誘致」(2019/8/22 定例記者会見)に突如として変更した期間の市長行動記録を辿ると、白紙と発言した会見から2日後の7月26日午後に首相官邸で菅官房長官と面会している。 <取材・文・図版制作/犬飼淳>
TwitterID/@jun21101016 いぬかいじゅん●サラリーマンとして勤務する傍ら、自身のnoteで政治に関するさまざまな論考を発表。党首討論での安倍首相の答弁を色付きでわかりやすく分析した「信号無視話法」などがSNSで話題に。noteのサークルでは読者からのフィードバックや分析のリクエストを受け付け、読者との交流を図っている。また、日英仏3ヶ国語のYouTubeチャンネル(日本語版/ 英語版/ 仏語版)で国会答弁の視覚化を全世界に発信している。
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