NURO光で「見られないサイト」が!? 原因となったGeoIP技術とは

古いデータが仇となってトラブル発生

 今回、切っ掛けとなったブログで報告されていたトラブルは、この GeoIP による誤判定だ。トラブルが起きたインターネット接続サービスでは、サービス拡大のために元々ドイツにあったIPアドレスの利用権を入手した。IPアドレスは、ネットの土地のようなものと思えばよい。新しいマンションを建てて入居者を募るために、土地を買収したというわけだ。  接続サービス側では、そうした所有権の変更を、適切な方法で処理した。しかし、GeoIP 技術を利用しているWebサービス業者が、日本以外のアクセスだと判断して、アクセスをブロックしたり、動画の配信を遮断したりした。  ポイントは、MaxMind 社の GeoIP が、最近 GeoIP2 に移行したことだ。GeoIP の無料版である GeoLite は2019年1月2日に廃止されている(参照:MaxMind Blog)。更新が止まっているので、最新のデータではないわけだ。そのためWebサービス業者が、アップデートされていない古いデータをそのまま利用していれば、こうしたトラブルが起こりうる。  この問題を個人で解決するのは難しい。Webサービス業者に、誤った判定を是正するように働きかけるか、地域によるブロックをやめるように要望するぐらいしかない。

サイト運営と、不要なアクセスとの戦い

 Webサイトを運営していると、不要なアクセスとの戦いは重要になる。放っておくと、海外から大量のbotがやって来たりする。そうしたbotからのリクエストに対して、律儀にHTMLファイルや画像ファイル、動画ファイルを送り返していると、通信の帯域が埋め尽くされてしまう。  必要な人に必要な情報を届ける。そして運営者が不要と思う人には情報を送り返さない。GeoIP 系技術を使えば、そうしたアクセス制御を手軽にできる。多くの場合、不正なbotは、明らかに対象ユーザーがいない国からアクセスしてくるからだ。  ただし、GeoIP 系技術には弊害もある。ブロックすべきではない人を、ブロックしてしまう可能性がある。こうした方法によるアクセス制御は、諸刃の剣になりかねない。  インターネットの帯域は無限ではない。ユーザーの見えないところでは、こうした水面下の戦いが日夜繰り広げられている。 <文/柳井政和>
やない まさかず。クロノス・クラウン合同会社の代表社員。ゲームやアプリの開発、プログラミング系技術書や記事、マンガの執筆をおこなう。2001年オンラインソフト大賞に入賞した『めもりーくりーなー』は、累計500万ダウンロード以上。2016年、第23回松本清張賞応募作『バックドア』が最終候補となり、改題した『裏切りのプログラム ハッカー探偵 鹿敷堂桂馬』にて文藝春秋から小説家デビュー。近著は新潮社『レトロゲームファクトリー』。2019年12月に Nintendo Switch で、個人で開発した『Little Bit War(リトルビットウォー)』を出した。
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