25年で7倍。「世界最強市場」米国株での稼ぎ方とは?

 日本では消費増税が近づく一方、米国では追加減税案が明らかに。やはり投資するべきは米国なのか? 米国市場の今後の見通しと投資の極意を追った!

25年で7倍! 驚異の成長率を誇る「世界最強市場」でガッチリ稼ぐ!

 米国株投資の人気が爆発中だ。SBI、楽天、マネックスなど大手ネット証券各社は米国株の取引手数料の引き下げ競争を展開。かつては少額取引でも5ドルかかっていた最低取引手数料が無料になったことも大きな追い風になっている。米国株投資で財を築いた個人投資家のたぱぞう氏は、その魅力を次のように話す。 「米国株は過去100年以上にわたって右肩上がりを続けてきた実績があり、世界で最も信頼性が高い株式市場です。いまだにバブル時の高値を超えられないまま少子高齢化で経済成長が伸び悩む日本や、経済が成長していても株価が連動しにくい新興国とは違って、米国株はGDPと株価が連動して伸び続けています。業績だけでなく、株価も上げなければならないという考え方が経営者に根付いていて、株主還元や株価上昇につながる自社株買いに積極的な企業が多いのも特徴です」

「逆イールド」はむしろ高騰の兆候?

 米国市場には前年より配当額を増やす「増配」を長く続ける企業が多い。昨年の発売直後から株式投資本としては異例のベストセラーとなっている『バカでも稼げる 「米国株」高配当投資』の著者であるバフェット太郎氏も信頼性の高い企業が米国市場には圧倒的に多いと強調する。 「米国市場には25年以上増配を続ける企業が100社以上あるのに対し、日本市場では花王1社だけ。しかも日本企業は高配当を続けていても、業績が悪化すればあっさり減配することも少なくない。一時的な下落局面でも配当の方針を変えてしまうことのない優良企業が多い米国市場のほうがよほど信頼できます」  25年以上連続増配ということは、「100年に一度の金融危機」と称されたリーマン・ショック時も変わらず増配してきたということ。米企業の株主配当への強いこだわりがうかがえる。しかし、海外資産というと、気になるのは為替リスクだ。ドル/円相場は直近1年でも約10円動いており、為替だけでも1割程度は簡単に変動する。たとえ株価が上昇しても為替で相殺されたり、円高と株安がダブルでくると損失が膨らんでしまう恐れもあるが、こうした不安をバフェット太郎氏は一蹴する。 「そもそも米国株には為替リスクがあって、日本株にはないと考えるほうがおかしい。日本の株式市場も為替の影響を受けて円高局面では下落します。実際、円建てで見たダウ平均と日経平均を比べても米国株が圧倒的に強いんです」
’80年1月以降の日米両市場の成長率

ダウ平均は25年で約11倍にまで達しており、日本のバブル景気時を大きく上回る成長を記録。一方、日経平均はバブル崩壊後、ほぼ同水準で推移し、過去の最高値に及んでいない

 ここへきて、世界経済はいよいよ景気後退局面入りするとの見方もある。しかも、この8月には米国債券市場で一時的にではあるが、不況の前兆とされる「逆イールド」(長期金利と短期金利が逆転すること)が生じたことも話題となった。過去20年ではITバブル崩壊やサブプライム危機、リーマン・ショックの前に逆イールドが起きているのだ。しかし、バフェット太郎氏は「逆イールドの発生後は、株価は短期的には暴落より暴騰する可能性のほうがずっと高いのです」と指摘する。 「過去3回の例を見れば、逆イールド発生から景気減退局面入りまで1~2年のタイムラグがある。それまでの間に株価はいずれも30%以上暴騰しているのです。たとえ暴落することがあったとしても回復する力はあるし、これから上昇して1~2年後に暴落しても、今の水準に戻るだけというシナリオも十分あり得えます」
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初心者はインデックス頼みの投資でもOK!
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