知られざる「ウクライナ不動産投資」。そのポテンシャルとリスクとは?

 ロシアのクリミア半島への侵攻以来、政情不安のイメージが根強いウクライナだが、実は投資対象国としては「穴場」になっているらしい。実際に現地で不動産を購入した内藤忍氏の話を元になかなか一般人が知りえない世界を紹介!

購入した物件をすっかり気に入り、眺望の素晴らしさにもご満悦の内藤氏

ウクライナ不動産投資のポテンシャルとリスクを探る

「その国の成長度や物件の見極めもさることながら、海外の不動産投資で重要なのは、投資物件を管理する業者の存在です。私がウクライナの物件購入を決めたのも、信頼できる管理会社の存在があったからこそです」(内藤氏)

購入した物件。これからリフォームを行い、賃貸用として入居者を募集する予定

 物件に何かトラブルが起きたとき、すぐさま海外へ赴くわけにはいかないので、管理会社とのスムーズな意思の疎通が必要になってくる。さらに、物件のリフォームや家賃の送金などの管理から物件の売却まで一貫して面倒を見てもらわなければならない。

購入物件の外観がこちら。築10年の建物を高級レジデンスにリノベーションした。「施工は日本の業者が担当しているので、信頼性は十分」と内藤氏

「これらは、少々英語ができるだけでは対応不可能。そう考えると、管理会社は日本の企業であるか、もしくは日本人スタッフが現地に常駐しているところを選ぶのが原則です。ウクライナの投資物件の購入も、そこが決め手となりました。しかし、ウクライナではそうした物件はまだまだ少なく、探すためには特別なコネクションやネットワークに頼らざるを得ません」  物件価格は日本円にして約1200万円だったが内藤氏はキャッシュで購入した(取引はすべて米ドルベース)。 「現地の物件が担保にならないので、日本の普通の銀行ではローンは組めないと考えたほうがいいです。もし、ローンで購入したいのであれば、日本国内で不動産投資を行っていることが前提になりますが、日本政策金融公庫が一番可能性が高いでしょうね」  しかし、同公庫は事業資金を融通するのが仕事なので、投資目的ではまずお金を貸してもらえない。 「不動産投資ではなく、“不動産事業”という名目が必要。融資を受けるためには事業計画書とともに、国内で展開する事業でウクライナにも進出したい、と説明しなければなりません」

6年間の家賃保証で空室リスクは回避

 ウクライナの金融会社のローンを利用する手もないわけではないが、金利が高すぎて割に合わないそう。現状では、やはりキャッシュで購入するのが現実的。

今年2月、内藤氏が主宰する投資グループメンバーとともに物件を視察。内藤氏をはじめ10人以上が購入した

 物件は賃貸に出す予定で、現在はリフォーム中。すぐに入居者が決まるかどうかは、現時点では何とも言えないが、6年間は家賃保証が付いているので、とりあえずは空室リスクは避けられるという。 「購入価格の5.5%を12か月で割った金額が、毎月の家賃の私の取り分として、管理会社から銀行口座に振り込まれます。ただ、入居者が実際に支払う家賃は管理会社の取り分が上乗せされるので、7万~8万円ぐらいではないでしょうか。ウクライナではウエイトレスの月収が数万円なので、相当な高額家賃ということになります」  空室リスクを避ける意味で、家賃保証はあるに越したことはないが、それでも注意が必要。実勢の家賃相場に比べて家賃保証が高額すぎると入居者が集まらず、それでも管理会社は保証した家賃を払い続けなければならないため、破綻してしまう恐れがあるからだ。管理会社が潰れてしまっては、物件オーナーとしては入居者は集まらないわ、家賃保証は入らないでは元も子もない。 「悪質な業者だと、物件価格としてあらかじめ家賃保証分の金額を上乗せして売りつけ、そこから家賃保証代を捻出するケースもあります。いくら家賃を保証されても、これでは自分が支払った分が返ってくるだけなのです」  6年間とはいえ、購入金額の5.5%が家賃として保証されているということは、7年目以降は家賃が上がる期待も下がるリスクもあるものの、物件購入時点の利回りは5.5%。しかも、管理費は差し引かれているので、ほぼ実質利回りとなる。 「今、東京23区で同じような物件だとネット利回りは4%程度なので、ウクライナのほうが若干ですが上回ります。手間やリスクを考えると、それほどおいしいとは言えないかも。しかしウクライナ投資のポイントはそこではなく、割安すぎる為替レートです」  安定した利回りを受け取りつつ、為替レートの上昇期待という“おまけ”までついてくる。富裕層が熱視線を送るのも当然だろう。
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ウクライナの物価は激安
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