ドイツのオフィスビルの窓の外側には、たいてい日射よけのブラインドがついている
2点目は、窓まわりの対策だ。最も効果的なのは、直射日光が照りつける窓の外側に、すだれやオーニングなどを設置することだ。日射は窓の外側で対策すれば、およそ8割の熱をカットする効果がある。
それが難しい場合は、ヘチマやゴーヤを茂らせて緑のカーテンをつくるという手もある。水やりなどの手間はかかるが、葉っぱからは水分が揮発して冷却効果も生まれる。外側には手を付けられないのであれば、室内側に遮熱カーテンや遮熱シートなどを設置しよう。もっとも効果が高いのは、窓の外側と内側の両方に対策を施すことだ。
エアコンの風よけカバー
3点目は、エアコンの風を均一に行き渡らせる方法だ。冷たい空気は下の方にたまりやすく、空間の上の方が熱くなりやすい。そこで大型扇風機やサーキュレーターなどを複数台使用して、空気をかき混ぜる。
また、エアコンの吹出口に回転ファンなどを取りつけることでも、空気が循環しやすくなる。なお、エアコンの直風が当たって寒くなる人がいれば、エアコンに風よけカバーを設置するのがいいだろう。
最後に、人によって暑さの感じ方が違う場合の対策についても触れておきたい。もっとも良いのは、各人が体感で勝手に空調の設定をするのではなく、空調を設定する管理者とルールを決めることだ。
外から帰ってきた人が暑いと感じ、急激に設定温度を下げたとしても、オフィスの温度は急には下がらない。逆に温度ムラが極端になったり、強い風が当たって不快と感じたりする人が増えるという悪循環にもつながる。もちろん、エネルギーロスも大きくなる。
そこで、例えば「温度変更は周囲の了解をとって、30分間で1℃上下できる」というルールをつくるのはどうだろう。そして、30分後に周囲に確認しつつ再設定すればいい。いずれにせよ、互いに嫌な気持ちにならないために、設定温度を変更する際には声掛けを忘れないようにしたい。
いろいろ工夫しても体感の違いが大きい場合は、暑がりの人と寒がりの人とでデスクを交換してもいい。たまに席替えをすることが、気分転換にもなるかもしれない。
もし徹底的に対策をしたいのなら、職場環境を根本的に見直しすることをお勧めしたい。窓の内側にもうひとつ窓をつける内窓の設置や、壁の内側に断熱材を補強するなど、大掛かりなリフォームを実施すれば、省エネはもちろん、暑さや寒さに悩まされることも格段に減る。ストレスの少ない職場環境を実現して効率的に仕事をするために、社員同士で議論してみてはどうだろうか?
◆ガマンしない省エネ 第15回
<文/高橋真樹>