「暑すぎる」「寒すぎる」夏のオフィスを快適に過ごす工夫
窓まわりの対策と、エアコンの冷気が循環する工夫を

ドイツのオフィスビルの窓の外側には、たいてい日射よけのブラインドがついている

エアコンの風よけカバー
温度設定の管理者とルールを決める
最後に、人によって暑さの感じ方が違う場合の対策についても触れておきたい。もっとも良いのは、各人が体感で勝手に空調の設定をするのではなく、空調を設定する管理者とルールを決めることだ。
外から帰ってきた人が暑いと感じ、急激に設定温度を下げたとしても、オフィスの温度は急には下がらない。逆に温度ムラが極端になったり、強い風が当たって不快と感じたりする人が増えるという悪循環にもつながる。もちろん、エネルギーロスも大きくなる。
そこで、例えば「温度変更は周囲の了解をとって、30分間で1℃上下できる」というルールをつくるのはどうだろう。そして、30分後に周囲に確認しつつ再設定すればいい。いずれにせよ、互いに嫌な気持ちにならないために、設定温度を変更する際には声掛けを忘れないようにしたい。
いろいろ工夫しても体感の違いが大きい場合は、暑がりの人と寒がりの人とでデスクを交換してもいい。たまに席替えをすることが、気分転換にもなるかもしれない。
もし徹底的に対策をしたいのなら、職場環境を根本的に見直しすることをお勧めしたい。窓の内側にもうひとつ窓をつける内窓の設置や、壁の内側に断熱材を補強するなど、大掛かりなリフォームを実施すれば、省エネはもちろん、暑さや寒さに悩まされることも格段に減る。ストレスの少ない職場環境を実現して効率的に仕事をするために、社員同士で議論してみてはどうだろうか?
◆ガマンしない省エネ 第15回
<文/高橋真樹>
ノンフィクションライター、放送大学非常勤講師。環境・エネルギー問題など持続可能性をテーマに、国内外を精力的に取材。2017年より取材の過程で出会ったエコハウスに暮らし始める。自然エネルギーによるまちづくりを描いたドキュメンタリー映画『おだやかな革命』(渡辺智史監督・2018年公開)ではアドバイザーを務める。著書に『ご当地電力はじめました!』(岩波ジュニア新書)『ぼくの村は壁で囲まれた−パレスチナに生きる子どもたち』(現代書館)。昨年末にはハーバービジネスオンラインeブック選書第1弾として『「寒い住まい」が命を奪う~ヒートショック、高血圧を防ぐには~』を上梓
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