エアコンの設定温度ばかりにこだわっていては快適にならない
次に、そのオフィスの快適な温度の基準を定める。厚生労働省の「建築物における衛生的環境の確保に関する法律」及び「事務所衛生基準規則」の基準では、建物内の室温を17℃〜28℃、相対湿度を40%〜70%に保つよう定めている。しかしこの値は最低限度の基準でしかない。
夏季の「職場快適基準」で推奨されているのは、温度は24℃~27℃、相対湿度は50~60%だ。よく「エアコンの設定温度は28℃に」と定めている職場があるが、それにこだわっていては快適なオフィスは達成できないことになる。そもそも、「エアコンの設定温度=室温」というわけではないことも意識しておきたい。
なお、暑さの感じ方は温度だけでなく湿度によっても大きく影響される。同じ28℃でも、湿度が70%以上だと暑く感じるが、60%以下では比較的涼しく感じる人が増えるという調査もある。「湿度が20%違うと体感温度が4℃違う」とされているだけに、エアコンの除湿運転や除湿機を活用して適切な湿度コントロールを心がけよう。
温度ムラを解消する主な対策は3つある。1点目は、熱源をできるだけ減らしたり、集中を避けたりすることだ。パソコンやプリンターなどが密集し、一部だけ温度が高いエリアができていると、人間だけでなく精密機械であるOA機器にも悪影響を及ぼす。可能な範囲で分散させる工夫が大切だ。
特に大きな熱源となる大型プリンターは、できればデスクから遠ざけて配置してほしい。また、熱を発する冷蔵庫、ポット、コーヒーメーカーなどの家電は、できる限り別の部屋に移動させよう。
照明に白熱灯や蛍光灯を使っていたら、発熱量の少ないLEDに交換したい。特に白熱灯は、エネルギーの9割を熱にして捨てている。エネルギーがもったいないだけでなく、真夏に小型暖房機をいくつもつけているようなものなので、早急に交換しよう。
熱は人間からも発せられている。安静時でも一人あたり100Wほどになるので、オフィスに30人いる場合は3000Wの暖房機があるのと同じことになる。そのため、人が密集しないよう座席やデスクの並びを工夫することで効果が出る場合もある。