ホンダがアルゼンチンでの自動車生産から撤退決定。過去の栄光から逃れられないアルゼンチンの斜陽

社内で噂されていた自動車部門のアルゼンチン撤退

 自動車部門の撤退については数か月前から社内で噂されていたそうだ。2016年にホンダは市場景気の危機を感じるようになり、生産の効率化としてオートバイを生産していたフロレンシオ・バレラの工場を閉鎖して、自動車部門があるカンパナの工場に移し、オートバイと自動車を同じ場所で生産することに変更した。  更に、今年初めには販売の落ち込みに対処すべく従業員を解雇するのではなく、700名の従業員に対し労働時間の短縮と給与の30%をカットすることで危機を乗り越えようと図った。しかし、問題は生産台数が自動車の場合15000台の生産能力を備えているにも拘らず2車種HR-VとWR-Vの年間生産台数は僅か9000台で、しかもその70%は国内市場向け、30%はブラジル市場ということで販売の伸びは全く期待できない状況だったのである。結局、今年に入って7月までで販売されたのは僅か6605台、それは国内市場のシェアーの2.2%という非常に厳しい結果を招いていた。(参照:「Clarin」、「iProfesional」)  アルゼンチンにおける自動車の生産台数は2017年統計で47万3000台ということで自動車生産国としての規模は小さいものの、この結果はやはり重くのしかかっていた。

インフレによる生産コスト上昇も重石に

 ホンダの場合、同社を取り巻く経済事情は極度のインフレなどの影響で生産コストは上昇し、地元の関連企業の閉鎖などから今後も生産を継続することに大きな疑問がもたれていたということなのである。  得意のオートバイ部門においても、7モデル20万台の生産能力を備えているにも拘わらず年間の販売は7万台にとどまっている。ということで、自動車部門とオートバイ部門の両部門において販売低迷に今後も耐えて行く強い疑問がもたれていた。その結果、自動車部門の生産を完全にやめることに決めたというわけである。今後はブラジルとメキシコからの輸入に依存することにしたそうだ。(参照:「Clarin」)  自動車部門の生産が開始された時にはアルゼンチン国内で100万台を供給するというプランをもっていた。しかし、現在まで45万台を供給しただけである。(参照:「iProfesional」)  今回のように自動車メーカーが生産をやめて撤退するというのは初めてのケースだという。しかし、現状のインフレがこの1年で56%を記録し、現在の政策金利は74%ということで、アルゼンチンでは如何なる商売も利益に繋ぐことはほぼ不可能である。しかも、ホンダの場合の輸出市場はブラジルしかない。このような事情下での生産継続は累計赤字を加算するようなものである。
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景気は悪化、外資も撤退しつつあるアルゼンチン
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