申晶樹さん
政府が掲げる働き方改革によって、テレワークやリモートワーク、時短勤務など様々な働き方に注目が集まっている。その中で、大手企業が副業解禁を打ち出して新聞を賑わせたことからも、今後ますます副業に対する関心は高まることだろう。
一方で、まだまだ副業に対する企業側の受け入れについては課題がある。それは、いまだ週5のフルタイム勤務ができる正社員を採用したい企業が多いため、副業人材の働き口が狭いことだ。つまり、需給のバランスが成り立っていないのである。
働き方改革が行われ、ダイバーシティ推進が叫ばれている中、雇用に多様性も求められるのは確実。しかし、企業側は、働き方改革の対応に追いついていない。
そこで今回は、副業をしたい人と企業のマッチングサービス
「シューマツワーカー」を運営する株式会社シューマツワーカーのカスタマーサクセス責任者を務める申晶樹氏に、副業の実態や副業をする上での心得えについて話を伺った。
副業ニーズは高まっているが、供給が追いついていない
「政府が推進する前から副業という言葉自体は存在していたが、投資で稼ぐといった怪しいイメージがあった。まともな仕事として成立させるためにサービスを開始し、副業解禁を境に登録者は増加した」と申氏。
副業をしたいという需要が増える一方で、企業には副業人材を雇用することが浸透していないのが実情だという。
「企業は、人手が足りないと、正社員を雇用しようとする。労働人口が減少し、人手不足が課題に挙げられている。しかし、副業人材を採用しようとする企業は多くない。なぜなら、人手不足という課題解決に、『副業人材を活用する』といった発想に至っていないから」
申氏は前職で人材会社に勤めていた。そのとき、企業と打ち合わせをしても人出不足は正社員で補うのが当たり前だったという。外部人材の活用は話に上がらなかった。
なぜなら、企業は外部人材にどのような人がいるのかわからないからだ。また、フリーランスとして働いたり、副業をしたりしている人に対して、アレルギーを持っている企業も少なくない。
このような背景から、副業人材の活用が活発化されないのかもしれない。申氏も、企業が副業の受け入れに消極的な姿勢を感じることがあるという。
「企業向けに外部人材の活用を促そうとイベントを打っても、人事の方が来ない。これは大企業か中小企業かを問わず、まだ副業に対するイメージが定着しておらず、外部人材を活用する段になっていないのでは」
総務省が発表している統計データによると、2060年には人口減少によって正社員を採用できなくなる時代がやってくるという。解決策として、正社員以外の外部人材を使うという方法がある。
企業が業務内容を振り分けるときに考えるべきなのは、その仕事をする人が、フルタイムで働く必要があるのかということ。
その上で、正社員でなくても、プロジェクト毎に適材適所で人材をアサインする選択肢も視野に入れる。このような考えが一般化していけば、積極的に外部人材を活用しようとする動きが生まれてくるのではないだろうか。